招待状
お久しぶりです。生きてました。
さて。どこからアプローチをかけようか…SNSアカウントにコンタクトをかける?
ダメだな。突然誰とも知れない相手から誘いが来ても無視するだけだ。
実際俺もそうしてた。
なら向こうがやってるゲームに行ってマッチするのを待つ
ありえん!どれだけ時間かけるつもりだ俺は!
「やっぱし招待状かなぁ…」
★
ネット上には、様々な情報が飛び交っている。
ゲームの攻略情報、現実であったニュースの裏側、個人情報…上げればキリがない。
そしてその情報の中には、都市伝説等も含まれている。
大半が根も葉もないデマ、作り話だったりするのだが、その中には実は本当に存在するものがあったりもする。
そしてそれは非常に信憑性が高く、しかしながらありえないと言われている物があった。
曰く、それは非常に腕の良いゲーマーに送られる。
曰く、それはゲームを心から楽しんでいる者に送られる。
曰く、それは対等に戦える相手がいない者に届くと言われている。
それは、挑戦状であり、招待状であり、証である。
存在を確認した者は数人しかいない、伝説のゲームプレイヤー。
今となっては忘れられかけている、誰も勝てなかった彼から送られる物。
それが届いた者は、退屈を失うと言われている。
しかしそれが何なのかは、未だに知られていない。
「…私のところに、来ないかな…」
と、中川ころなはその都市伝説を見ながら部屋で独り呟いた。
昔はあんなに楽しかったゲームも、今では誰とやっても負けることがなくてつまらない。
大会では「まだマシ」なのと戦えるけれど、それでも昔ほど楽しくない。だけどスポンサーの人には「楽しんでくれ」と言われているので頑張って楽しんでいる。
「ま、来るわけないよね…」
と、呟いた瞬間メールの通知が来た。
まさか。と思いながら確認してみると
「まあ、そうだよね…」
「招待状」が来てるなんて事あるわけなく、ただの次の仕事の連絡だった。
サラっと読むと、夕飯の時間になっていた。
今日も彼女は退屈な日々を過ごしていた。
そして、彼女が部屋に戻ってくると携帯端末に非通知の電話が何本かかかって来ていた。
よくある事だ。未成年でプロゲーマーなんてしていれば当然嫉妬の対象にもなる。
嘆息しながら、非通知番号をブロックしようとした瞬間、非通知番号から電話が来て間違えて応答ボタンを押してしまった。
折角だから聞いてやるか。なんとなくそう思い、携帯を耳に当てて返事をしてやる。
「はい。どちら様ですか?」
『あ、もしもし〜?koronさんで合ってます?』
「そうですけど」
いきなり自分がkoronであるかどうかの確認をして来るということは自分が目的、そしてわざわざ非通知にしてかけて来ると言うことは自分に対する誹謗中傷の類だろう。そう思うと
『お前今、退屈だろ?』
「っ!?」
突然自分の内心を言い当てられた。
一体なんなんだこの電話の主は。自分に対する誹謗中傷にしては声に悪意がないような気もするし、だからと言ってなんの目的もなく電話をかけて来たようには思えない。
『おー図星かぁ。俺の感覚もまだまだ鈍っちゃいないかな?』
「あなたは誰?」
当然の疑問。これまで自分と話したことがあったり、大会で闘ったプレイヤー達の中でも聞いた事のない声だった。
『そ、う、だ、なぁ〜キチゲーマーって言って通じるかな?』
「キチ、ゲーマー?」
『あ、君くらいの歳じゃあわかんないかな?んーじゃあなんて説明しようか…』
「あなたは何がしたくてわざわざ電話なんて掛けてきた?イタズラ電話ならやめてもらえる?」
『あーいやいや待ってくれ待ってくれ。今日は君に招待状を持ってきたのよ』
「招待状…?まさか」
『君のいうまさかが何なのかは知らないけど〜俺が持ってきたのは退屈を失くすチケットさ!じゃ、もう君の端末に送ったから。まったね〜!』
「え、ちょっとまっ」
電話は切れている。そしてメールボックスには見知らぬアドレスから1件のメールが届いている。
そのメールの中にはURLとただ一言。
【楽しめ】
とだけあった。
そして彼女は今日「伝説」を目の当たりにする事となる。




