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記者

投稿の期間が空いてしまい申し訳ありません!

その日の夜、俺はもう一度アナペルにログインした。優と一緒にプレイするためだ。

前回やめた場所は森の中だったので当然森の中から…と思っていたのだが、入り口まで戻っていた。どうやらこのゲームでは外でログアウトすると入っていたマップの入り口まで戻されるようだ。とりあえず街まで戻ることが目的だったので、今回は都合がよかった。



街に戻ってきたが、変に目立つのは嫌なので、虐殺者装備はインベントリにしまってある。今は初心者装備の短剣を付けている。それと、名前を変えた。どうにも最初の3回までなら、無料で名前を変えられたのだ。まあよくよく考えてみれば、俺の名前を覚えてるやつなんてもう極少数だろうし、仮に覚えていたとしてもキチゲーマーと俺を結びつける人なんてそうそういないだろう。という考えの元、名前を昔使っていた『リンガ』に戻した。


テシノは今、街の中央の噴水広場にいるらしい。探してみると、すぐに見つかった。しかし何故かはわからないが沢山の人が周りにいる。というかあれは…取材?なんか話しかけてる女性の人がメモ帳らしき物に書き込んでいる。そしてそれを遠巻きに見ている人が沢山いる。なんだか困っているようではなかったが、約束しているので行くことにした。


「それで、【万能二刀】のテシノさんはやはり正式版でもボスの初回ソロ撃破を狙っているのですか?」

「できればって程度ですよ。自分はそこまで強い方ではないですし。それに、今は友達と一緒にやる予定ですから」

「ほうほう。そのお友達というのはどういった方なんでしょうか?やはりゲームが上手いんですか?」

「えっと、今待ち合わせしてるんですけどって、おーい!ここだぞー!」

そのテシノの呼びかけの方向に多くの人間の目が行く。一体あのテシノの友達とはどんな人間なのか。それは多くの人間の興味を引く事項であり、結果として視線の先にいたのはほとんど初期設定のままの姿をしたリンガだった。



え。なんかめっちゃ見られとるんやけど。どうしよう。なんでみんな俺のこと見てるの?真ん中見てろよ!

そんなことを思いつつ、中心にいるテシノの元へ歩いて行く。俺の名前を見たのか、テシノは一瞬頭に疑問符を浮かべたが、すぐに理解し、取材者と思わしき女性に俺の事を紹介する。


「こいつはリンガって名前の俺の友達です」

俺は未だに何故こんなに周りに人がいるのかわかっておらず、なんだか変な感覚だ。こんなに周りに人がいたのは、バトロワゲームの大会に出た時以来だ。もっともあの時はもっと囲んでいる奴らの距離も近かったけど。


「ほうほう。この人がテシノさんの…」

「おい、なんだよこれ」

「実は今ちょっと取材受けててさ、お前には俺の身代わ…ゲフンゲフン。スケープゴー…じゃなかった。俺に対する負担を減らしてもらいたんだよ」

「本音出てるぞ」

そんな事を小声でテシノと話していると記者?の方が自己紹介をしていた。

「私はノートと申します。以後お見知り置きを〜」

「ん?その名前どっかで聞いたような…」

俺はその名前に関してどこかで聞いたような記憶がある。はたしてどこだったか…

「そりゃお前ノートさんって言ったらVRMMOじゃ有名な記者の人だよ。いろんな有名プレイヤーに取材してそれをゲーム内だったり自分のブログにアップしたりしてるんだよ。多分お前もそこら辺の関連で聞いたことあるんじゃないのか?」

と、テシノが言うが、そう言う感じではないのだ。もっと、自分に近しい場所で聞いたよう、な…

俺が考え事をしている間にも取材は進んでいたらしく、俺に質問がされた。

「リンガさんは、ゲーム歴はどれくらいなんですか?」

「確か8歳ぐらいの時からだから…9年間…ですかね?」

「それ程やっているとなるとやはり腕前も高いんですか?」

「全然高いと思ゔっ!」

テシノが答えようとしたので腹に肘を入れる。すまんな。

「いやぁでもVRMMOを始めたのは本当につい最近なのでどれくらいできるかはわかりませんね」

「なるほどなるほど…」

「おい」

テシノが小声で話しかけてくる。

「なんで急に腹に肘入れやがったんだこの野郎」

「お前今余計なこと言おうとしてただろ。二つ名をつけられるようなプレイヤーに負けたことがないとか言われたら絶対面倒くさいだろ?」

「まあ、確かにな」

テシノとそんな事を話していると、一通りメモ帳にまとめ終わったのか、ノートが声をかける。

「はい。それでは取材のご協力ありがとうございましたー!これは少ないですが取材代になりますね!」

と、言われ渡された金額はおよそ5000ペル。序盤としては十分に高額だ。何故こんなにペルを持っているのか聞こうと思ったら既にノートの姿は消えていた。

「あれ?ノートさんは?」

「あの人、取材が終わったらすぐにいなくなるんだよ。お陰で向こうの人となりがイマイチわからないんだよな」

「へー」


そして、その後、2人で一緒に狩場に向かっていると後ろから声をかけられ、誰かと思い振り向くと先ほどの記者、ノートだった。


「どうかされましたか?」

「ああいや、私が用があるのはそちらのリンガさんです」


俺に?一体なんの用だろうか?嫌な予感を抱きつつも、聞いてみる。


「それで、俺に用って…?」

「これ、初めて会った人全員に聞いてるんですけど」


そしてノートは、あの名を口にした。


「キチゲーマーって、知ってますか?」

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