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前世から引き継がれた記憶  作者: ハルメシ
2/2

そしてここから

前回の続きです。よければ読んでいってください

気がつくと辺りは真っ暗だった。なにも見えずただ暗かった。ここは病院なのだろうか。検討もつかない。事故にあってから何時間経ったのだろう。友一の頭の中には疑問がいくつも浮かんでいた


コツコツ…


後ろの方から誰かの足音が聞こえてきた。硬いコンクリートを女性がハイヒールで歩くような音。そしてその音は次第に大きくなりそして友一の前で止まった。


「あの…すみません。僕はあのあと一体どーなったのでしょう…?」


きっと医者か看護師の誰かだろう。そう思っていたのだが友一が問いかけても誰も答えてくれない。そして辺りが真っ暗なため相手の姿形まったく見当もつかない。


「あの…」


友一はまた訪ねた。すると10秒くらい間が空いて返事が返ってきた。


「どうやら勘違いをしているようだね。ここは病院でもない。それどころか日本でも地球でもない。」


男の人の声だった。それよりも友一は言葉の意味が理解ができなかった。事故で意識を失って夢でもみているのだろうか。そうするとこれは夢の中なのか。


「まあ信じてくれないよな。ここに来る人たちはみんなそんな表情だよ。」


友一はますます理解ができなくなった。ここに来る人?他にも来た人がいる?夢にしては夢っぽくないこの感じ。事故で頭おかしくなってしまったのだろうか。


「わかりやすく言うとここは死後の世界。君たち人間はそういう風に呼ぶだろう。おっと。夢ではないよ。君今夢だと思ってるでしょ?まあそう思うのにも無理はないか。」


「なぜ俺が考えてることを…」


友一の頭は疑問で埋め尽くされた。死後の世界?俺死んだ?ここ病院じゃないの?てかあんた誰だよ。


「僕は…神様って言ったらわかりやすいかな。名前がないんだよねー。」


あいての考えてることを読むことができるらしいので友一が名前を訪ねる前に名前を答えてきた。本当に恐ろしい神様だ。


「神…様…」


「どうやら聞きたいことが山ほどあるようだね。いいだろう。次の死者の案内まで時間があるし一から説明してあげよう。」


神は友一に今までの流れを全て話した。どうやら神によるとあの後友一は病院に緊急搬送され意識不明の重体のまま息を引き取ったらしい。そしてここは死後の世界。どうやら神によると人間は生まれながらにして死ぬ年齢が決まっているらしい。だがその決まっている年齢よりも半分以上早く死んでしまった人間には記憶を無くしてまた赤ん坊からやり直すことができるらしい。ちなみに友一の場合は87歳に死ぬはずだったらしいが死んだのは17歳。そう。半分以下なのだ。なので友一は来世に生まれ変わることが許されたらしい。友一は信じられなかったが話を聞くたびに信じていった。


だが一つ心残りがあった。それは美香のことだった。記憶を消されてしまうなら生き返っても美香に会うことはできないだろう。仮に会えたとしても気づかないのがオチだ。


もう一度会いたい。


この世では常日頃たくさんの人間がふとした瞬間に命を落としている。そんななか心残りがあるのは俺だけじゃないだろう。なのに俺だけわがままを言っても聞いてもらえないだろう。


友一はダメ元で神に頼んでみた。


「前にも君みたいな死者はいたよ。気持ちはわかるよ。でもねー。」


神は返事に困っていた。


そして無言の沈黙が続いた。


「じゃあ条件を出そう」


神から一つの提案が出された。その内容は…


流石に丸ごと記憶を残して生まれ変われさせたらそれはそれでいろいろと大問題だ。なので物心がついてそれなりの年齢になったら毎晩美香との出来事を夢に見させてあげよう…と


ただしそれには条件があった。美香との記憶を引き継ぐ代わりに友一の人生は32歳で幕を閉じるということ…


「三上友一くん。これでどうかね。出身地と性別は日本にしておこう。あ、ちなみに次死んだら半分以下だろうがもう生まれ変わることができないからね」


「ああ。覚悟の上だ。」


友一は美香にもう一度会える可能性があるならなんでもよかった。あって話したいただそれだけ。もう一度付き合いたいとか贅沢は言わない。


そろそろ生まれ変わりの時が来たらしい。


どこかからか一つ大きな光が友一のところに向かって来た。友一にぶつかり光は一気に弾けた。


この瞬間友一の記憶は一部を除いて削除された。そして三上友一の人生はここで幕を閉じた。


そして新たな物語がこの瞬間始まろうとしてた。



時刻は午後11時36分。病室に力いっぱいの男の子の赤ん坊の産声が響きわたった。




読んでいただきありがとうございましたー!

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