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厚い胸板と太い腕の男

 僕らが飛行機を降り、入国審査を終えて、外へ出ようとしていると審査官に止められた。

 僕と比べる必要もないほどの太い腕、鉄の鍋のように厚い胸板が警備員の紺色の服の上からでも想像できた。

 軽く殴られただけでも、ポキンと骨が折れてしまいそうだ。


「YOU……Where is the baggage?」


 ……分からない。何を言っているのか。何を伝えたいのか。

 辛うじて、単語単語は分かるものの。それが正しいのかも分からない。


 チラッと優也を見る。

 期待もこもった目を向けても助け舟は出ない。


「ソーリー、プリーズ スピーク ジャパニーズ。」


 どうだ。一応、日本で予習してきたんだぞ。

 勝利を確信した僕は、審査官と優也を交互に見る。


 日本人が英語を喋ってビビっているのか審査官は、考え込んでいる。

僕は、どうだという風な顔をしてやった。


 すると優也が近くに来た。

 やるなあ。などの褒め言葉を期待していた僕の予想とは裏腹に彼は言った。


「いや、無理だろ。」


無理なのか、何が。どこが。


 そのまま、我が友人は続ける。


「なんで、日本語が話せると思った。話せるわけねえじゃんか。」

「なんで。」

「いや、ここ日本じゃねえし。」


 優也の言う通りだ。いざ英語で話されたら緊張してそれしか思い浮かばなかったんだよ。


「OK、OK。」


 審査官がそう言うとタブレット端末を僕らに見せた。


「Look this.」


 英語の隣に、日本語が表示されている。

 カバンはどこ。と


「OH、マイバッグ イズ ……イン big バック」


 言えた。伝わったんじゃなかろうか。そう思ったが、彼は頭に疑問符を浮かべた後come、come言っている。

 そこが、地獄への出発点だった。


 そう、チャイナ美人は多くの試練を乗り越えた先にあるらしい。そう確信しないとやってられない。

それは幻想か?

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