第86話
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午後の時間をゆっくりと過ごし、早めに夕食を取って入浴も済ませてから、午後九時にはベッドで眠った。さすがに一日が終わり、眠りに就ける時はいい。昼間は何かと忙しいから、夜間は睡眠を取るのだった。
一夜明け、午前五時には目が覚める。起き出し、キッチンでコーヒーを一杯淹れた。飲みながら、朝食の味噌汁を作る。そしてご飯や納豆と一緒に食べ、ヨーグルトも口にしてから、後片付けした。何かとだるいのだが、洗面して書斎に入ると、パソコンを起動させる。ドキュメントを開き、キーを叩いて加筆していった。
何も変わらず、いつも通りである。淡々と作業していった。ネット小説を打っていく。今これがメインの仕事だから、どの原稿よりも優先していた。
確かに寒い季節になると、屋内とはいえ、書き物の仕事も滞りがちになる。かと言って、何もしないわけにはいかない。起きている時間は、常に何かに取り組んでいた。基本的に午前中はずっと原稿を書く作業をしている。はかどらないこともあった。BGMを掛けっぱなしなのだが、外の騒音などが聞こえると集中が途切れる。
でも、人間は何もないということはない。必ず何かが気になっている状態が続く。俺だって当然感情はあるのだし、作家である前に一人の人間だ。当たり前といえば当たり前なのだし、何も気にならないなどということは、絶対に有り得ないのである。
一日の執筆計画分の原稿を書き終えたら、パソコンを閉じて仕事終了だ。ちょうど半日ぐらいで終わっている。後の時間はゆっくりしていた。テレビ番組鑑賞や読書など、自分の好きなことに充てる。幾分力を抜いて……。(以下次号)




