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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
85/245

第85話

     85

 その日も午後はゆっくり過ごして、午後五時には夕食を取り、入浴してから午後九時には眠った。確かに毎日規則正しく生活している。あまり刺激はないのだが、ないならないでそれでもよかった。

 翌朝も午前五時には自然と目が覚める。起き出し、ベッドを整えて、キッチンへと向かった。コーヒーを淹れて飲む。朝の一杯は実に美味しい。飲み終わって朝食を作った。味噌汁を用意し、ご飯や納豆と一緒に食べる。ヨーグルトも欠かさず口にするのだ。健康法の一つなのである。

 食事後、洗面を済ませて書斎に入った。パソコンを立ち上げて、ディスプレイを見ながら、キーを叩く。朝は何かとだるいのだが、気を入れた。

 東部出版の今城からはメールが来る。ネット小説のサイトのアクセス数は必ずチェックするのだが、結構好評みたいだ。連載も快調に進んでいる。

 新聞などに連載を持つ作家は大抵売れている人間が多いのだが、ネット連載もいい。リズムになる。それに仮に連載終了後に単行本化などの話が来ると、美味しい。ずっと企画出版で本を出しているのだが、初版が少なく、売れ残り、廃版ということが多かった。

 ネットからは次々と新しい作品が出てくる。今のトレンドに付いていけてるようで、実際付いていけてない面もあった。時代が速いからだ。次々に新しい書き手が出てくる。体のいい能書きを付けられて。そして書けなくなれば消えていくのだ。その繰り返しだった。ここ五年ぐらいでも相当勢力図が変わってきている。知らない作家も大勢いた。

 そんな中で十年以上書き続けている。頑張ってる方だと思えた。今の若手や中堅の書き手など、根気がない人間が多い。一つのことをコツコツと長く続けられないのだ。

 もちろん、逸り廃りなどたくさんある。常に入れ替わっていく。今の調子で文壇の片隅にでも残れれば、それでいい。多くを望むことはない。地味にやる。

 昼になり、仕事も一段落してパソコンを閉じ、ゆっくりし始める。いろいろあっても時は流れていく。もう十一月も終わりだ。いつの間にか、厳冬になっている。今年もあっという間に暮れていく。ずっと独り身のマンションで過ごしながら、そんなことを思っていた。毎月定期的に、銀行振り込みの原稿料や所定の印税などを確認するため、銀行に行くこともある。生活の一つのサイクルとして……。(以下次号)


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