第84話
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その日も午後の時間を過ごし、早めに夕食と入浴を済ませて、午後九時にはベッドに潜り込み、休む。寝入ると、また朝が来た。午前五時には起き出し、寝床を出て、キッチンへと入る。コーヒーを一杯淹れて飲みながら、朝食を作った。食べてから洗面し、書斎に入ってパソコンを立ち上げる。いつも通り、原稿を打ち始めた。
毎日執筆していて、慣れている。創作は日課の一つになっているので、当たり前にやっていた。愚直なのである。昔からずっと。確かに何かに熱中するのは、いいことだと思えた。別に過熱することもないのだが……。
原稿を打ちながら、改めて時間の大事さを想う。今まで若い時は散々時を無駄にしてきた。貴重な時間を不意にするようなことをたくさんしてきたのである。だが、今は分刻みで動くから、そういった無駄はない。やっと目が覚めたような感じがする。昔の青臭い自分から……。
もちろん完璧に全てのことをやってのけるほど、器用じゃない。だが、この年になると、器用さも自ずと活きてくる。いろんなやりくりをするのに、慣れてしまっていた。
日曜の朝も平常通り流れていく。無理をせずに過ごす。時折席を立ち、コーヒーを淹れて飲んだ。気付けの一杯は美味い。インスタントコーヒーなので味わいはそうないのだが、日々必ず口にする。まさに必需品だった。
昼まで原稿を書き、仕事が終わってパソコンを閉じてから、キッチンで昼食を作って食べる。そして午後からはテレビドラマ鑑賞や読書などに時間を割く。いろいろ感じているのだ。ぼんやりしている暇はないのだし……。(以下次号)




