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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第79話

     79

 午後の時間を過ごし、早めに夕食を取って入浴する。そして午後九時にはベッドに潜り込んだ。疲れていたから、すぐに寝付く。夜中や明け方に目が覚めたのだが、何とか午前五時に起きることが出来た。

 キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲み、目を覚まして、朝食を作る。味噌汁を少量こしらえて、ご飯や納豆と一緒に食べた後、ヨーグルトを口にした。洗面所へと入っていき、歯を磨いて洗顔する。

 書斎でパソコンを立ち上げて、ネットを見た後、メールをチェックして、原稿を書き始める。何かとだるいのだが、執筆は休まない。キーを叩き、原稿を作っていく。雑誌連載の原稿も書いている。俺自身、ほとんど原稿料で生活していた。印税は極わずかだ。

 プロでも売れない作家は大勢いる。その一人として、愚直に書いていた。作品の公序良俗と締め切りさえ守れば、書き手の生活は保障される。確かに変わり映えのしない時が続いていた。それに四十代で独り身だと、孤独が漂う。

 昔、東部出版の広報部の女性社員に有名な美女がいた。当時の編集者が作家から原稿を取りに行く時も、その女性が付いていくことがあったようだ。俺も東京の本社に行った時、一度見たことがある。もう二十年ぐらい前の話で、今その女性は結婚して退職し、出産もしたと聞いていた。

 出版界というのは派手な世界でもある。昔から大物作家は珍重されてきた。売れている間は。当時銀座のクラブなどに豪遊した小説家もいたのは知っている。もちろん、東部出版もその頃は贅を尽くしていたようだ。今はそんなことはないのだけれど……。

 俺よりも若い書き手で、売れている人たちは、ひたすら金を貯めるらしい。案外しっかりしてるようだった。今の若者は堕落しているイメージがあるのだが……。俺も三十代半ばぐらいまで、ずっと大量に書いてきて、今は寡作になっている。安定しているのだ。贅沢することもなく、貧乏し過ぎることなく、である。

 昼まで書き、一日の仕事分の原稿を綴り終えると、パソコンを閉じた。ゆっくりし始める。疲れが溜まっていて、掌や腕も痛い。使わない時は休めることにしている。大事を取って。(以下次号)


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