第71話
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その日も午後六時過ぎには夕食を取り、入浴も早めに済ませて、午後九時前には休む。毎日執筆が大変なのだが、一日に書く原稿はそう多くない。常に書いているから、慣れていた。特にミステリーなどの事件モノは、作品もワンパターンと言えばワンパターンだ。壮大な虚構を作るのに苦労するのだけれど、きちんと手順を踏んでやっていた。
日曜も午前五時には起き出し、キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲んだ後、朝食を作る。寒い朝は味噌汁で温まっていた。強い健康志向が、俺に栄養のいい食べ物を作らせる。それに汁物は単に具を入れて煮込むだけだから、簡単なのだし……。
食事を取ってから、洗面所で洗面した。歯を磨き、顔を洗って髭を剃る。そして書斎へと入っていった。多少疲れは溜まっていたのだが、パソコンを開けば業務開始だ。キーを叩き、ドキュメントに加筆していく。部屋にはキータッチ音が鳴り響いた。カツカツカツと。
ネット小説も書き足していく。発光体は目を痛めるのだし、長時間作業すると、疲労が出る。書きながら、合間に眼球を休めることも考えていた。絶えず時間に追われる。休憩中も原稿のことで頭がいっぱいだ。
ちょうど正午ぐらいまで書くと、一日の仕事が終わる。健康的なのだ。夜書くことはないのだから……。仕事が終わると、作っていたデータを保存して、パソコンを閉じた。昼食を取り、録っていたテレビ番組を見始める。外は晴れていた。窓の内側から窺う限りでは……。(以下次号)




