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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第70話

     70

 毎晩早めに眠る。日中、執筆やドラマ鑑賞、読書などをすると、夜間は自ずと眠る時間になってしまう。学生時代など徹夜したりしていたこともあったのだが、今はそんな気力はない。相応に年を取ったということだ。時間の貴重さも感じていて……。

 土曜も午前五時には起き出し、キッチンへと行く。寒い。コーヒーを一杯淹れて飲んだ後、朝食を作る。いつも通り食べて腹を満たすと、後片付けを済ませ、洗面所へ向かった。歯を磨き、顔を洗って髭を剃る。そして書斎へと入った。パソコンを立ち上げて、ネットに繋ぎ、ニュースを軽く見た後、メールもチェックする。出版関係者からのメールは一通り読んだ後、用件だけ書いて返信した。

 出版社も雑誌社も休みなのだが、通常通り仕事する。ネット小説も書き進めた。確かに幾分疲労があったのだが、キーを叩き、加筆していく。年中細々とやっていて、執筆依頼に応じ、愚直に書いていった。月の雑誌連載の本数も、その他の原稿の筆量もほとんど変わってない。

 だが、専業作家のいいところは、何らかの媒体に連載などを持たせてもらって、必ず食えるということだ。淡々と書く分が金に変わる。名も作品も売れているプロ作家で、執筆以外の活動が忙しくて、ゴーストライターなどを雇う輩は、いつの間にか書けなくなってしまう。もちろん、その人たちはそれで納得してブランド品のような扱いを受け続けるのだろうが……。

 一度街のカルチャースクールで推理小説に関し、講座を開いたことがあった。席上で斜視を隠すサングラスを掛け、講師として小一時間話をしたのだ。五年以上前である。一般人はミステリーを見たり、読んだりすることがあっても、書くことはまずほとんどない。だから、俺の講座も大好評で終わった。あれからあの手の仕事はほとんど来ないのだが、気に留めてない。改めて、人前で喋ることの苦手さを感じ取らされた。

 俺の場合、執筆は苦にならないから、大丈夫だ。原稿はいくらでも書ける。パソコンとプリンターさえあれば、作家業は出来る。もっとも、最近はメールで入稿するので、原稿をわざわざ紙に印字する必要性もほとんどないのだが……。

 昼前には一日の仕事を終え、作ったデータを保存して、パソコンを閉じる。そして昼食を作った。食事しながら、スマホでニュースを読む。ながらはよくないと分かっていても……。(以下次号)


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