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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第68話

     68

 その日も夕食と入浴を済ませて、午後九時になると、ベッドに潜り込む。疲れていて、すぐに寝付いた。現時点で不眠の症状はないのだし、夜間はゆっくり休めている。明け方に夢を見たり、起き抜けに体がだるかったりするのだが、午前五時には目が覚めていた。

 木曜も起きて、キッチンでコーヒーを一杯淹れる。飲んだ後、朝食を作った。俺以外に誰もいないマンションの一室は朝方、不気味なぐらい静かである。味噌汁をお椀に一杯作り、ご飯と納豆、それにヨーグルトを用意した。食べながらも、いろいろ考える。

 食事が済み、流しで食器の後片付けなどをしてから、洗面所へ向かう。歯を磨き、顔を洗ってから髭を剃った。電動髭剃り機は同じものを長く使っている。貧乏性で、新しいものをすぐに買うことはしないのだ。昔から金に関しては、何かと不自由してきたことが多いのだし……。

 書斎に入り、パソコンを立ち上げてネットに繋ぐ。ニュースとメールをチェックした後、ドキュメントを開き、作りかけのものに加筆していく。キーを叩き、原稿を作っていった。幾分疲労はあったのだが、変わらずに作業する。

 一口に作家と言っても、売れている人間は極少ないのだし、俺だって売れない方だ。多くの書き手が原稿料で食べている。雑誌連載や単行本、文庫本、書評の執筆などで。それに元々多筆なのだけれど、最近は筆量がだいぶ減った。昔のように金に苦労がない分、時間の大事さを考える。果たして今、有意義に過ごせているか?――、そればかり思う。

 もちろん、金を稼ぐことも大事だ。だが、金儲けって俗悪で卑しい。そう思えてくる。俺にとって、一万円の現金と二時間の時間の選択なら、迷わず二時間の時間の方を取る。それだけ、年を取ったということだ。

 昼まで原稿を書き、終えてからゆっくりする。パソコンを閉じて、リビングでテレビを見始めた。それから読書するつもりである。本を読むということは欠かさない。作家なら読む方も旺盛にするのは当然のことなのだから……。(以下次号)


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