第61話
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また一日が終わり、午後九時には眠る。眠りに落ちたかと思うと、すぐに朝がやってきた。午前五時前には目が覚めて起き出す。キッチンへ入っていき、コーヒーを一杯淹れた。飲んだ後、朝食を準備する。味噌汁を作り、ご飯と納豆、それにヨーグルトで食事を済ませた。
洗面し、午前六時半には書斎でパソコンを立ち上げる。祝日で出版社は休みなのだが、通常通り仕事した。キーを叩き、原稿を作っていく。ネット小説をサラッと三回分書き、ディテールを弄って仕上げてから、メールで入稿した。今城からもメールはもらっている。<ちゃんと読んでますから、どんどん送ってきてください>といつも記してあった。
確かに作家も編集者も物を作るという点に関しては大変だ。それにいくら夢を見ていても、行く手には地獄がある。俺自身、物書きとしては、最低分量ぐらいの原稿しか書いてない。だが、きちんと金も稼げているのだし、別にいいと思っていた。日常生活においても、時間が比較的自由になる方なのだから……。
心が磨り減ってきているのが、分かっていた。何かと疲労が取れない。鬱の状態もひどくはないのだが、気分の減退など、症状が出ていた。もちろん、疲れた時は休む。無茶はしないのだ。精神に病気を持っていると、どうしても気を付けてしまう。大病じゃないのだけれど、ハイスピードだと危ないなと思うことがあって……。
昼になり、仕事の目途が付くと、いつもより早仕舞いにして昼食の支度をする。データを保存し、パソコンを閉じた後、食事を作った。幾分疲労や倦怠があり、食事してから、ベッドに横になる。少し眠った後、起き出してコーヒーを一杯淹れる。飲んで目を覚ました。そして録っていたテレビ番組を見始める。やっと気分が落ち着いてきた。思う。気持ちの下降も対処次第だと。(以下次号)




