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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第5話

     5

 夜になり、自宅マンションの外からは虫の鳴く音が聞こえてくる。読書しながら、ゆっくりしていた。明日も仕事だ。早起きしないといけない。午後十時には眠り、午前五時に起きる。ずっとこのサイクルだった。作家は何かと健康的なのである。大変な仕事だが……。

 翌朝起き出し、コーヒーを一杯淹れた。まだ、アイスでもいい。夏の終わりから、秋に掛けて気温は下がるのだが、そう気にしてない。いつも思う。マイペースで行けてると。普段から書斎にいる時はずっとパソコンに向かう。

 ネット小説の続きも三回分ほど書き、メールで送った。一回分の原稿は四枚程度いいと、今城がメールで知らせてくれている。四枚というのは、実にわずかな量だ。もちろん、単純計算で百話連載すれば、四百枚の作品となるのだが……。

 併せて文芸雑誌の連載原稿も執筆する。月三本というのは、職業作家としては少ない方だ。知り合いの直木賞作家で週刊誌七本、月刊雑誌五本、単行本や文庫本の書き下ろし、それに講演などで主に国内を飛び回る人間がいる。おそらく体のいいゴーストライターを雇っているだろう。作家というのは、儲かるうちは本当に儲かる。売れなくなれば、ドーンと突き落とされた感じになるのだが……。

 その日もいつも通り昼まで仕事し、昼食を取って、午後は録画していたテレビドラマを見る。未だに芝居が好きで、執筆の参考にするのだ。今も昔も変わらない。文学や文芸に浸るのは……。

 空になったグラスにアイスコーヒーを淹れ直して飲みながら、テレビを見る。その後、読書し始めた。食っていく金は十分ある。家にこもるのは、無味乾燥な実社会と関わりたくないからだ。若い頃からウンザリするぐらい、嫌な現実や嫌な類の人間を見てきた。俺自身、そういった苛烈なものを過程にして生きてきたのである。歯を食いしばり、耐えた時代もあった。だから、今の作家生活がある。たとえ貧乏生活でもいい。それにそこらを歩く人間たちと関わるのは時間の無駄だと思っていた。自ずと一般社会とは遠ざかる。外に行くのは散歩に出るか、銀行やスーパーなどに行くぐらいで……。(以下次号)

 


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