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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第45話

     45

 一日が明けて、月曜の朝、午前五時に起き出す。キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲んだ。眠いのだが、朝食を取って洗面し、書斎でパソコンに向かう。単調なのだけれど、原稿を作っていった。いつもこんな感じだ。独りで生活するから、何でも自分でやる。慣れていた。キーを叩き、原稿を打っていく。

 ネット小説の原稿は進んでいた。それに月刊雑誌などの他の連載も。愚直でしっかりやる。それが俺のやり方だ。十年以上やっていると、慣れが生じる。日常でも、原稿を書くことがリズムの一つになっていた。

 その週の火曜は朝から晴れていて、暖かい。前日、街は蒸し暑かったのだが、別に気温など上がっても下がっても関係ない。朝から原稿に向かう。午前五時起きで、六時半には仕事を始めていた。キーを叩き、原稿を綴っていく。暇はない。合間にコーヒーなどを軽く口にする程度で。

 作家は作品が売れるかどうか、分からない。ただ言えるのは、たくさん宣伝すれば、部数もそれなりに出るということだ。俺の作品など、新聞に載っても単なる一行広告程度で、最初から売れることが想定されてない感じだった。

 それに作品の部数が出ることは、日常生活が侵害されるのを意味する。未だに人気作家はいろいろと大変だ。原稿執筆だけでなく、メディアに登場したりするので……。そんな気には到底ならない。別にいいのだ。最低限食べていくだけの金さえあれば。派手に売れれば、プライバシーがなく、それはそれでまた大変である。書き手として成功することは万に一つもないと思っていた。今ぐらいの生活水準が維持される程度で……。

 よくいるだろう。芸能人などでも、テレビやラジオなどから消える人間が。あの人たちはそれでも十分生活できるのである。犯罪に走るなど、よほどのことをしなければ。作家だって旬はいつまで続くか分からない。いつかは書けなくなるのである。それに比べれば、俺など全然マシな方だった。売れることを見越してないので……。

 火曜も昼前には一日の仕事が終わり、ゆっくりし始める。テレビを付けて、録っていた番組を見たり、書斎で読書したりしながら……。(以下次号)


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