第4話
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一日が過ぎて、月曜の午前九時過ぎに、東部出版の今城に電話してみた。東部出版からもネット小説の話があったことを思い出したからである。確か、二〇一五年の九月だったから、ちょうど一年前だ。
「おはようございます。H県F市の加田です」
――ああ、加田さん、おはようございます。……朝から何かご用件でも?
「一年ぐらい前にネット小説のお話ありましたよね?」
――ええ。
「僕に書かせてもらえませんか?」
最初、電話先で今城が黙り込んでいたが、やがて、
――やってみますか?
と言ってきた。
「ええ。じゃあ早速原稿作りますから」
――連載ですから、欠かさず書いてください。こっちが原稿に目を通して、直しなどを入れ、順次アップいたしますので。
「分かりました。では」
電話を切って、すぐにパソコンを立ち上げ、ワードの画面を開く。そしてキーを叩き始めた。タイトルを決め、下書きする。肉付けしていきながら、思う。多分、このミステリーは分量的にも長編になるだろうと。まあ、長いものは書くのに慣れている。
原稿を作りながら、思った。これが東部出版のホームページのネット小説コーナーに載ったら、どれぐらいアクセスや反響があるだろうかと。訪問者が多くて、読者が増えれば、紙とか電子などの書籍化がある。楽しみだった。
その日、三回分の連載原稿を書き、メールで入稿した。今城が言った通り、これから書かないといけない。長丁場になることも予想される。しっかりやろう。そう思っていた。
外は曇りで、時々雨が降った。何かと天候が悪い。正午に昼食を取り、午後一時前には仕事を終えて、パソコンを閉じた。そしてDVDレコーダーに録っていたテレビドラマを見る。アルコールは控えていた。一滴も飲まない。酒に逃げないのだ。きちんと健康を保つために。(以下次号)