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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第38話

     38

 夜は眠る時間だ。街も何かと騒がしいのだが、午後九時から十時の間にはベッドに潜り込む。そして翌朝は午前五時に目を覚ます。夜間なかなか熟睡できないのだが、朝は基本的に早い。

 キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲みながら、食事を作る。朝は和食だ。ご飯と味噌汁、それに納豆などを付けて食べる。長年こういったスタイルで来ていた。大学時代から、自炊は得意だったのである。食事しながら、頭の中で一日の計画を立てた。食べ終われば、後片付けをして、洗面所へ向かう。歯を磨き、顔を洗って書斎へと入っていった。

 パソコンを立ち上げて、キーを叩き始める。確かに腱鞘炎などで、腕が痛んでいた。作業を続けていると、どうしても体の一部に負荷が掛かってしまう。だが、作家の職業病だと思って我慢していた。

 原稿を綴る。その日もネット小説の原稿をきっちり三回分書き、メールで入稿した。今城も原稿に目を通し、幾分直しを入れてから、サイトにアップしてくれている。アクセス数は多かった。新しい読者が増えることが楽しみだ。

 作家としての俺に知名度がないことは十分分かっていた。仕方ない。今まで書き手として散々やってきても、肝心のヒットがなかった。もちろん、売れないなら売れないで、雑誌連載などの仕事は来るのだが……。

 プロ作家の原稿料は高い。俺自身、連載は数えるほどしか持ってないが、十分食えていた。今ぐらいの筆量でも、生活自体安定している。それに本が出ても、部数は少ない。大抵初版止まりで、後は絶版だ。

 だけど、それでもよかった。家にいて、自分のペースで仕事が出来るからである。キーを叩き、淡々と綴っていく。家に編集者が押し掛けてきたり、出版社の人間たちが順番待ちで原稿を待つこともない。それは昔売れていた松本清張や横溝正史など、古い事件モノ作家の話である。俺には全く縁のないことだった。清張の作品は一通り読み、同じ推理作家として、憧れていた時期もある。それも今考えると、昔の話なのだが……。(以下次号)


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