表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本を書く仕事  作者: 竹仲法順
30/245

第30話

     30

 午後十時になる前に眠気が来た。歯を磨き、顔を洗ってベッドに潜り込む。疲れていた。すぐに寝入る。夜間や明け方に目が覚めても、また眠った。毎日、疲れ気味である。体がだるい。だが、朝起きてコーヒーを一杯飲めば、目が覚める。

 日曜だが、朝食を取った後、洗面を済ませて書斎に入った。パソコンを立ち上げる。そしてネット小説の原稿に取り掛かった。書き進めながら、時折トイレに立つ。十月なのだが、夏の名残は若干あった。少し暑かったので、扇風機を回す。

 年中仕事だ。スランプこそなくて、常に原稿を書く。マシーンのキーを叩きながら、作品を打っていった。腱鞘炎などはある。体も重たくて、幾分苦痛があった。もちろん、慣れてはいるのだが、やはり休日は寝床でゆっくり眠っていたいという気になる。

 書き物はリズム作りだ。いろいろあっても、とにかく執筆する。自宅だと、緊張感は抜けるのだが、別にいいのだ。パソコンのワードの画面を文字で埋め続ける。十年以上やっているから、作風も出来、だいぶ上達していた。

 俺だってプロの書き手である。甘いことは言ってられない。特に締め切りが近付くと、焦りがちになる。普段からしっかり書いていても、油断せずに原稿を作っていく。まあ、いろいろあった。作家と編集者サイドの間で事情のようなものが……。

 今城は俺に対し、特に発破は掛けてこないのだが、編集者は基本的に様々なことを作家に伝えてくる。原稿を作品として世に出す場合に、決して妥協し合わない。作家としても、いろいろと伝える。互いにけん制し合うことこそないのだが、意見を出し合う。

 人間いろいろ考える。俺も葛藤などがあった。何でもないことでも悩む。それも作品に添えることがあった。人物描写などで反映させながら……。歪な登場人物や情景、背景なども、作家の個性が作り出すものである。そういったことは、分かり過ぎるぐらい十分に分かっていた。何せ場数を踏んでいるからだ。

昼前に執筆が終わり、パソコンを閉じて、ゆっくりし始めた。変わることなく、毎日流れていく。まあ、その変わらなさが俺にはいいのだけれども……。(以下次号)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ