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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第26話

     26

 毎日単調だ。だが、焦らない。パソコンに向かい、キーを叩いて原稿を打つのは変わってなかった。健康体だ。地味に長くやるつもりでいる。幾分疲れていても、所定の原稿は書く。いろいろと事情のようなものはあるのだが……。

 今城も俺の原稿を読み、手直しなどをしてから、サイトにアップしてくれていた。確かにあの編集者も優秀だ。何度も会ったことがあり、一緒に食事したこともあった。物書きの相手など、煩わしいだけだろうが、あの人間は人を見る目がある。売れなくても、俺の作品の出来はいいらしい。今に売れると言っていた。別に売れなくてもいいのだが……。

 一応、新人賞経由でデビューしているので、出版社の人間たちも俺を先生扱いだ。「加田さんはよく書いておられる」といった褒め言葉は実に嬉しい。大したビジネスにはならないにしても……。

 俺自身、朝の時間を利用する。早起きして新鮮な頭で原稿を書く。ずっと変わらないスタイルだ。特にここ四、五年は夜起きておくことがない。飲みに誘われても、絶対に飲まない。アルコールは敵だ。体を悪くするから、嗜みすらしない。代わりにコーヒーの量が増える。カフェインは健康にいいから、積極的に取っていた。

 起きている時間も、睡眠中も、部屋のBGMはずっとクラシック音楽だ。常に脳を刺激している。昔から音楽は歌謡曲も含めて、いろいろ聴いてきたのだが、やはりクラシックだと眠気が差さない。部屋のコンポを重用していた。音楽を聴きながら、日々過ごす。

 これから先どうなるかは分からないのだが、安泰だろう。そこそこ食えているのだし、大きくシフトチェンジすることもないと思う。何せ、収入の増減があまりないので……。増えることもなければ、減ることもない。だから、安心だった。

 ネット小説の原稿も、雑誌連載の原稿も書いている。愚直に綴っていた。暇はないのだが、合間に上手く休憩を取る。疲れた時はベッドで仮眠を取っていた。ノイローゼはあるのだが、頭痛の種はいずれ治まる。そう気に掛けることもないだろう。軽く安堵しながらも、執筆は続く。苦痛が多くなれば、音楽をより静かなそれへと掛け替える。いろんな工夫を凝らしていた。毎日のように……。(以下次号)


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