第244話
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散歩から帰り、シャワーを浴びて夕食を早めに取る。午後九時に就寝するまでずっと、録っていたテレビドラマを見たり、読書したりして過ごした。九時にはベッドに潜り込み、眠る。夏の夜は蒸し暑い。扇風機で風を送り、熱を逃がしながら休む。翌朝午前五時に起き出し、キッチンでアイスコーヒーを一杯淹れて飲んだ。体はだるいのだが、一日が始まる。
朝食を食べて、後片付けと洗面を済ませ、書斎でパソコンを立ち上げた。昨日に引き続き、原稿のチェックを続ける。まだ、編集者もゲラは作ってないだろう。あの人たちも一人で複数の作家を担当しているから、忙しいのだ。いつもオフィスでキュウキュウしていると思う。出版社や雑誌社は狭いフロアに大勢の人間がデスクを並べて仕事をしている。今も昔も変わらない。
原稿を読み込み、ディテールを弄っていく。改めて読み返すと、削る部分が多い。いつも思う。時間が経って昔の原稿を読むと、推敲不足の箇所が実に多いと。
コーヒーを淹れて飲みながら、作業を続ける。書斎には空調を入れていた。蒸すように暑くなるのだ。それに毎日同じことをやっていると、倦怠してしまう。原稿を読みながら、時折目を休めた。液晶のディスプレイを見続けていると、眼球に負荷が掛かる。
マンションは前にある道路を人が通ることがあっても、基本的には静かだ。小説の執筆などには適している。大都会からこの街に移ってきた。もう都会地特有の騒音に悩まれることなく、仕事が出来る。
昼になり、データに保存を掛けてパソコンを閉じた。昼食を取り、軽く休憩した後、歩きに出る。外は暑い。日傘の代わりに傘を差して散歩した。ゆっくりと歩いていく。アスファルトは熱を帯びていて、履いている靴の裏が焼けてしまう。まだ夏本番じゃないのだが、気温は相当上がっている一日だった。(以下次号)




