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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
242/245

第242話

     242

 散歩から帰り、シャワーを浴びる。そして夕食を済ませた後、録っていたテレビドラマを見、読書もして、午後九時には休んだ。幾分疲れていて、明け方に一度目が覚めたのだが、トイレに立って二度寝し、午前五時には起き出す。キッチンでアイスコーヒーを一杯淹れて飲んだ後、朝食を取った。

 洗面を済ませて書斎に入り、パソコンを起動させる。新作の原稿の原本をチェックし始めた。いずれ編集者からゲラが送ってくるだろうから、照らし合わせる形で書き直していくのだ。

 今日は土曜で出版社が休みなのだが、通常通り仕事する。疲れていても、原稿に向かっていた。十年以上同じことを根気よく続けていると、板に付く。確かに新人賞受賞当時の心意気までは忘れかけていたのだが、初志は貫徹する。

 合間に席を立ち、キッチンでコーヒーを淹れて飲む。気持ちを落ち着かせるのに、カフェインはいい。目が覚めて、気分転換にもなる。

 ある意味、四十代にもなると、人生の峠は見えてくるのだ。どうやら俺も作家業で大成することはないだろう。それにドラマ鑑賞や読書などの方が人生を豊かにしてくれるものと思っていて、あえて書き物の仕事の方は効率を上げ、短時間で済ませているのが現状だった。俺の出す書籍に増刷は掛からないだろう。原稿料やわずかな額の印税は受け取っていても、所詮糊口を凌ぐ程度である。儲かることはない。

 原稿を読み込みながら、随時チェックを入れていく。プロの仕事は厳しい。所定の日までに入稿等をしないと、信用を失ってしまう。出版社や雑誌社の人間たちは日時や時間厳守で営業活動をしている。長年やっていると、自然と身に付いてしまう。業界特有の、暗黙裡の掟が。

 午前中いっぱいでその日の仕事を切り上げ、チェックしていたデータに保存を掛けて閉じ、ゆっくりし始める。疲れていたのだが、昼食を取って軽く休憩した後、散歩に出た。歩きながら、夏の風を感じる。蒸し暑く、熱を帯びていて……。時折、持って来ていた水を飲む。暑気で喉が渇くのだから……。(以下次号) 

 


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