第24話
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午後十時になると、自然と眠気が差す。遅くまで起きておかずに、そのままベッドに潜り込んで眠った。夜間は休む時間である。長年の習慣は恐ろしい。実際、時間が来ればすぐに寝入るのだし……。
実家のオヤジなど、全く相手にしない。アル中で認知症なのである。先はなく、数年で死ぬだろう。ずっと好き勝手してきたようだから、歯牙にも掛けない。あんな人間、さっさとくたばれ!いつもそう思っていた。
翌朝も午前五時に起き出し、ベッドから抜け出してキッチンへと向かう。だるかったが、コーヒーを一杯淹れて飲むと、目が覚める。朝食を作って取り、一日の支度を整えてから、書斎に入った。パソコンを立ち上げてネットに繋ぎ、ニュースを一通り読む。そして作業を始めた。
キーを叩き、原稿を作っていく。何事も外装からという通り、きちんと椅子に座って作業すれば、眠くならない。そういったことは十分分かっていた。ネット小説の原稿も打つ。普段からコンスタントに作業している。無駄なく、だ。
確かに今年の秋はいったん暑さが収まったかと思ったら、また暑気がぶり返したりする。気まぐれだった。そう気に掛けてない。いくら季節が変わろうが、俺の仕事内容は全く変わらないのだ。相変わらず、ミステリーの執筆だった。事件モノなど、いろんな作家が書いていて、新刊は書店に溢れ返るのだが、一書き手として地道に頑張っている。
いろいろあった。執筆も出版も、内部では事情がある。今城も、他の社の担当編集者も他作家を多数抱え込んでいて、なかなか俺ばかりに注意が集中しない。極めて当たり前のことなのだけれど……。
いつも早めに仕事を終え、パソコンを閉じてから、ゆっくりする。疲労は滲んだ。書き物は頭をフルに使うから、何かと疲れやすい。一日のうちにも食事や仮眠などを数度取るから、実質、時間ってあんまりないのだが……。
なかなか暇がない。だが、創作以外に読書はしていた。なるだけ活字に接する時間を取る。テレビ鑑賞などもするのだけれど、多くて一日に二時間程度だ。後は全部、何らかの形で活字に向かい合う時間だった。それだけ慣れているのだ。言葉というものに、それにその本質というものに。(以下次号)




