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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第22話

     22

 その日も午後十時には眠り、翌朝午前五時前に自然と目が覚めた。起き出し、キッチンへと行って、コーヒーを一杯淹れる。飲んでから目を覚まし、朝食を取った。いつも朝は簡単なのである。ご飯と味噌汁に、納豆を軽く口にする程度で済ませていた。あと、食後にヨーグルトを欠かさず食べる。健康にいいのだ。

 食事後、歯を磨き、顔を洗って髭を剃る。一日の支度を済ませてから、書斎に向かった。マイペースだ。土曜は出版社が閉まっているのだが、作家は原稿を書く。パソコンを立ち上げて、ネットニュースを軽くチェックした後、キーを叩き、作っていたドキュメントに加筆していく。

 連日涼しい。秋が訪れている。季節感を感じることってあまりないのだけれど、肌寒い時は長袖のシャツを着ていた。

 ネット小説ははかどっている。きちんと原稿を書く。基本的に勤勉なのだ。自分から願い出たことだから、絶やさず執筆する。断筆とか休筆って言葉は俺の中にない。所定の枚数は書くのだ。職業作家なら当たり前のことである。リターンをもらっているのだから……。

 慢性的に仕事量は一定していた。俺の一カ月の仕事は雑誌連載三本に、今連載中のネット小説、そして単行本などの書き下ろしだ。売れっ子作家はたくさん原稿を書かされるのだけれど、そんな人間たちとは程遠いので、今の仕事で十分満足している。

 大衆受けする売文を書くことだけは絶対にしない。魂を売り渡すことは最低だと思っている。読者に媚びへつらうようじゃ、いいものは書けない。俺自身、自分のペースでやっていく。いつも感じていた。自分にしか作れない作品もあると。

 それにどうだろう?売れている人間たちは相当大変だ。勘違いしないでほしい。あの人たちは出版社や雑誌社が総力を挙げて宣伝し、売り上げ金を回収しているのだ。別に作品が面白いからじゃない。人気作家がひどい駄作を書いても、ブランドさえ貼り付ければ、それで本は売れていく。文壇の実情など、所詮そんなものだ。実力勝負でも何でもない。芥川賞や直木賞などにも八百長紛いのことが公然と存在するのだし……。直木賞など欲しいとも何とも思ってない。必要ないのである。あんなもの、ちょっと文章が書けて、美男美女であるなら誰でも獲れるのだし……。

 俺に出来るのは、目の前の原稿を淡々と書くことだけだ。精一杯努力して。(以下次号)


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