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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
213/245

第213話

     213

 散歩から帰ってきて、シャワーを浴びた。早めに夕食を取り、眠る時間まで読書し続ける。春の夜でも冷えることはあった。午後九時には眠りに就く。真夜中一度目が覚めたのだが、トイレに行き、用を足してまた眠る。そして午前五時には起き出し、キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲んだ。

 朝食を作って取り、洗面も済ませてから、特に変わりのない一日が始まる。パソコンを立ち上げて、メールボックスを開くと、ゲラが追加で送られてきていた。直しを入れる。疲れていたのだが、新刊の原稿は何よりも優先だ。見ると、細かいチェックが多数入っている。一つ一つ読み込み、直していった。

 過去に何度もこういった作業を経てきているので、慣れている。プロは厳しい。いい加減な仕事は出来ない。十年以上同じ仕事をやって、痛感していることだった。もちろん、印税などで派手な生活をしているわけじゃないのだし、ささやかな原稿料でこのマンションを借りながら暮らしているのは、各出版社の担当編集者も知っている。

 このまま売れないでも、生活できないことはない。単に刊行する著作が減るだけで、差して影響はないのだ。それに売れ出せば、作家は大変である。プライバシーが一切失われて、穏やかな日常がぶち壊しになるのだから嫌だ。ゲラをチェックしながら、そんなことばかり考えていた。

 昼までに作業が終わる。ちょうど五時間弱で、送られてきた分のゲラの直しが終わった。メールで送り返し、パソコンを閉じて昼食を取る。そして午後から散歩に出かけた。外は暖かい。春の日差しを浴びながら、歩いていった。ゆっくりと。(以下次号)


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