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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
184/245

第184話

     184

 曇り空のもと、散歩に行き、帰宅してシャワーを浴びた。そして午後五時には夕食を取り、眠る時間までゆっくりする。午後九時前にはベッドに潜り込んだ。寝付いてから、真夜中目が覚めたのだが、トイレに立ってまた眠り、午前五時には起き出す。

 キッチンでカフェオレを一杯淹れて飲み、朝食を用意する。疲れていたのだが、朝から気を入れて過ごす。執筆開始までにエネルギーを蓄える必要があって、食事はきちんと取っていた。

 食事後、後片付けし、洗面所で洗面する。歯を磨き、冷たい水で顔を洗った。春は暖かい。洗顔も冷水でやると、肌が引き締まる。髭も剃って、書斎に入った。

 パソコンを立ち上げて、キーを叩き始める。暇はない。作りかけの原稿に加筆していった。淡々と打っていく。腱鞘炎で腕が痛いのだが、肩や腰の痛みは、いつの間にか治まっていた。

 午前六時半に仕事を始めるのだけれど、辺りは少し明るい。日の出が早くなっているからだ。執筆の合間にコーヒーを淹れて飲む。エスプレッソは眠気を払ってくれた。原稿を書き進める。

 新刊の原稿も書いていた。ハードボイルド小説で、自分の作風を大きく出す。マンネリに上塗りするようにマンネリを重ねていた。別にいいのだ。ワンパターンでも、そのジャンルでたくさん作品を書いていれば。新宿歌舞伎町、暴力団、警視庁捜査一課のデカ、同じく組対四課のマル暴刑事など、出てくる場所も登場人物も大抵決まっている。新味はない。

 俺の作品は需要があまりないのだが、決まった部数出る。刊行する出版社の人間たちも、俺を使って派手に金儲けしようとは思ってないらしい。単にマニアが買っていくだけだからだ。推理小説に嵌っている人間は俺の本などを書店やネットで買い求めて、コレクションするのだろう。過去作を読み、ファンレターのようなメールをくれた人も少し前にはいたのだが……。

 昼前には仕事が終わり、作ったデータを保存してパソコンを閉じた。ひとまずネット小説の原稿は相当先の分まで送っているから、大丈夫だ。当分新刊の方に集中できる。

 昼食を作って取りながら、書斎で飲み残していたコーヒーを飲む。午後からまた散歩に出るつもりだ。いつも、街でもあまりひと気のない通りを歩く。ゆっくりと。(以下次号)


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