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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第17話

     17

 日々流れていく。午後十時に眠り、午前五時に起きる生活が続いていて。だるさはあった。夏が終わり、秋は疲れがドッと出る。原稿は普通に進むのだが、疲労は取れない。夜間、何度か目が覚めることがあった。だが、昼間は基本的に多く仮眠を取ることはない。単にベッドで軽く体を休める程度で。

 コーヒーを飲むと、意識が覚醒する。夕食後は薄くして飲んでいた。濃い目のブラックを口にすると、入眠しにくくなる。連日、ひと月前よりも涼しい日が続くのだが、何かしら倦怠して参っていた。昼間きっちり仕事したら、後はテレビ鑑賞か読書に充てる。

 目の前のことを、そう気にしない性質なのだ。いずれまた別の意味でいいこともあるだろう。ずっと運が悪いということはない。人間は実に上手く出来ている。それに俺だって何のかんの言っても、好きな仕事に就けているわけだし……。出版する単行本などの部数が出ないのは、何とも言い難かったが……。

 日曜も一応仕事する。ネット小説は三回分きっちり書き、入稿した。滞りなく執筆が進む。よくよく考えてみれば、人気作家はかなり大変だ。俺なんかよりもたくさんの原稿を書かされるわけだし、稼ぎは多くても自分の時間などないだろうし……。結局作家でも俺ぐらいの所帯が一番いいのだ。原稿料とわずかな額の印税で十分食えるのだから……。

 ずっと感じていた。書き手の仕事は大変だと。それなりにやっている。考えることはあっても……。

 秋の日は涼しい。朝方から昼間に掛けて原稿を作る。仕事からは逃げられないから、しっかりやっていた。辛いことも多々ある。編集者が厳しいことを言ってくるうちはまだいい。何も言わなくなれば、見捨てられたのと同じになるのだから……。

 パソコンに向かい、淡々とキーを叩いて原稿を作っていく。実家のことなど、全く頭にない。オヤジも母親も、およそまともな人間じゃないのだから……。不幸な家庭だが、場合によってはそれもありだと思えた。家族といえども、皆で一致結束するわけじゃないのだから……。

 いろいろ考えながらも、時は過ぎ去る。絶えることなくずっと。(以下次号)


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