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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第165話

     165

 散歩から帰ると、食事と入浴を済ませて、その日も午後九時前には眠った。何かと疲れていたのだし、寝入ると、夜中目が覚めても、明け方には起きる。午前五時には起き出して、ベッドを出、キッチンへと向かった。変わらない一日が始まる。

 カフェオレを一杯淹れて飲んだ後、朝食を作り、取った。後片付けと洗面を済ませ、書斎へと入る。パソコンを立ち上げてキーを叩き始めた。原稿を作っていく。ネット小説もその他の連載原稿も進んだ。今ぐらい仕事があれば、十分食える。確かに出した作品は売れてない。だが、ミステリーの書き手など、売れない輩ばかりだ。

 今、売れている作家だって、大きな賞などを獲る前は全然売れてない。別に作品が凄いとかじゃなくて、単なる知名度だけだった。文壇など、顔が変わるのだ。メディアによる作戦が奏功すれば、どんな駄作でも売れる仕組みがある。それに乗るか乗らないか、だけだった。

 事件モノでよく書けている作品は、一昔前の古典などでは読んだことがあったが、現代文壇では読んだことがない。松本清張のように、自分の貧しい境涯を克服して成功した人間もいたが、そんな人間は現代に存在しない。贅沢なことに慣れている人間にとって、そんな人のやった辛い下積みや浮き沈みする運勢、生きてきた人生の苛烈さなど、分かりはしない。ミステリーをたくさん読んでいる俺でもよく知らないのだ。その手の人間はおそらくもう出ない。それに俺も清張のようなことはしたくないのだ。自分の人生を削ってまで、作品を書くことなど。

 昼前に作っていたデータを保存し、パソコンを閉じてゆっくりし始めた。昼食を取り、午後から散歩に出かける。別に自宅マンションで人と会うことはない。わざわざ来てもらっても、迷惑なだけなのだし……。(以下次号)


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