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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第159話

     159

 散歩した後、自宅マンションに帰り着き、ゆっくりする。食事と入浴を済ませて、午後九時には休んだ。寝つきがいい時と、そうじゃない時とに分かれる。午前五時には自然と目が覚めて起き出した。キッチンでカフェオレを一杯淹れて飲み、食事を作る。

 疲れは慢性化していたのだが、食事後、洗面してパソコンを立ち上げ、向かう。キーを叩き始めた。原稿を書くのは習慣で、常に何かを執筆している。小説や書評、エッセーなど、いろいろ綴っていた。スランプから解放されて調子がいい。鬱病は症状に波がある。薬だけは必ず飲んでいた。

 原稿を作りながら思う。俺の書いたものも、大して金にならないなと。原稿料と印税がそこそこ入ってきて、他は何もない。新人賞経由で作家になったから、原稿の依頼は来る。だが、月刊の文芸雑誌などが派手に売れているとは聞かない。所詮、増刷が掛かるのは人気作家の本だけだ。俺にはまるで縁のない話である。

 執筆の合間にコーヒーを淹れて飲む。カフェインで眠気を覚ましていた。ずっと書斎にいて、何かと疲れる。原稿は着実に出来ているのだが、疲労や心労の類はあった。いろいろ抱え込んでいる。常に何かを考えていた。いいことも、そうじゃないことも。

 だが、焦る必要はない。今、安定している。ゆっくりとやっていくつもりでいた。いろんなことがあっても、自分らしさは失ってない。作家は個性の塊だ。別に俺だけの話じゃなくて、昔からそうである。

 文人は何かを考えるのが好きなのだ。欲を張って。俺だってそうだった。現実が息苦しいものであっても、それとは対照的なことを考える。変わっていると自分でも分かっていて、あえて日々同じことを繰り返していた。普通の人間からは奇妙に見えるのかもしれないが、それが小説などを書く人間の特徴だ。

 正午にはその日の仕事が終わり、パソコンを閉じてゆっくりし始める。キッチンで食事を作って取った。そして読書など、自分の時間を作って過ごす。それに今日も外出しようと思っていた。外は小春の陽気なので……。(以下次号)


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