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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第155話

     155

 その日も午後はゆっくりと過ごし、夕食を取って入浴してから、午後九時には眠った。夜間目が覚めることもあったのだが、二度寝して、午前五時には起き出す。キッチンでカフェオレを一杯淹れて飲み、朝食を取って洗面も済ませてから、書斎に入る。

 日曜だが、通常通り仕事する。パソコンを立ち上げて、キーを叩き始めた。いずれ支給される年金プラス最低給付ぐらいの生活になると思っていた。だが、それでもいい。作家で貧乏暮らしをしている人間は大勢いる。芥川賞作家や直木賞作家でも、老後は生活保護受給という人がいるぐらいだから、珍しいことでも何でもない。それに俺には食えない時代もあった。体面などを気にしていては、人間は生きていけないのである。

 一日に書ける原稿には限りがあるのだし、徐々に寡作になってきている。仕方ないのだ。作家は大成する人間もいれば、俺のように大成せずに売れないで終わる人間に分かれるのだから……。気にすることもなかった。最低生活さえ維持できて、月に一、二万ぐらいの遊興費が捻出できれば、後はこのマンションの家賃を支払って余裕で暮らせる。不安はないのだ。

 一つ一つやっていくつもりでいる。執筆にしても、実生活にしても。今は出版というものに関わっているのだが、いずれ思うように書けなくなるだろう。

 確かに綺麗事を言うのは簡単だ。まっとうに働けと。だが、俺にはそれが出来ない。だから、生保も真剣に考えていた。俺自身、いざとなれば国にお世話になるつもりでいる。援助する親戚縁者などいないに等しいのだし……。

 鬱病を抱え込んでいる。通院で済んでいるから、入院などの必要は全くない。もちろん、不安が全くないと言えばウソになるのだが……。原稿を書けるうちに稼いでおこうと思っていた。いつかは書くこと自体、辞めるだろうから……。

 一日の仕事が済み、パソコンを閉じて、ゆっくりし始めた。キッチンで昼食を取り、寛ぐ。午後は読書などの時間だ。俺にもやることはたくさんあった。暇なく……。(以下次号)


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