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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
154/245

第154話

     154

 午後をゆっくり過ごした後、早めに食事を取って入浴した。そして休む。いつも疲れていて、夜間はひたすら眠る。起き出せば、また活動時間だ。いつも通り活動する。

 金曜を合間に挟み、土曜も午前五時に起きる。キッチンでカフェオレを一杯淹れて飲み、朝食を作った。食事後、書斎でパソコンを立ち上げてキーを叩き出す。所定の原稿を書き始めた。連日疲れる。執筆もだるい。精神的なストレスや疲労の類があって……。

 だが、作家は常に原稿を作る。俺だって、手を抜くことはない。昔のように大量の作品を書くことはないのだし、今は必要な分だけ執筆する。

 考えてみると、ミステリー一本でよくここまでやってこれた。いろいろあっても、四十年以上生きてきたから、何かと強い。メンタルヘルスは悪いのだが、最近、主症状の鬱とも上手く戦っている。別に俺にとって精神医学はそう関心もなく、どうでもいい類のことだ。単に月に一度ぐらい病院に診せに行き、抗うつ剤など、薬を処方してもらうだけで……。

 毎日過ぎていく。俺にも事情はいろいろあった。だが、世間は容赦ない。作家というのは本来地味なのだが、ここ数年来の文壇は派手すぎる。「勘違いするな」と言いたい。作品一つろくに書けない輩がスター気取りするなということだ。出版社や雑誌社はすぐにアイドル顔負けの若い美女を作家先生に仕立て上げる。単なる話題作りの一環で白々しい。そういった書き手は芸能界にでも行けばいい。飾り立てて売り出す以上、文人である必要性は全くない。

 地味に続けることの大切さが、身に沁みて十分分かっている。だから、あえて売り出さないまま来ていた。俺にとって、わずかな連載と単行本の出版ぐらいあれば、それでいいのだ。別に今更売れずとも……。

 執筆が終わり、午後からゆっくりし始める。疲れていたのだし、休もうと思った。土曜の午後は快適だ。適度なエネルギー補給で。(以下次号)


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