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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第15話

     15

 夏も終わっていき、秋になると、徐々に疲れが出る。夜間は過ごしやすいのだが、朝が辛い。一応午前五時に目が覚め、ベッドから起き出して、キッチンへと向かう。コーヒーを一杯淹れて飲みながら、スマホを手に取る。ネットニュースを読み、朝食を取って、洗面した。歯を磨き、顔を洗って髭を剃る。別に変わったことはない。日々同じだ。もちろん、人間は体も心も絶えず移り変わっていくのだが……。

 パソコンを立ち上げて、キーを叩き始める。スマホでネットニュースを見た時は、特にマシーンで情報をチェックせずに、すぐに作業へと移った。年中原稿を打つ。ほぼ変わらない。俺自身、書けないということはないのだ。必ず十枚なら十枚、書ける時はもっと書く。

 いろんなことを感じていた。書斎にいながらでも。何かと内にこもるのが好きだ。これは俺のような物書きの特性かもしれない。昔から作家など、そういった人が圧倒して多い。別に激しい活動家なんかじゃないから、疲れれば休む。いろいろあった。創作しながらも……。

 鬱の状態は放っておくと危険なのだが、薬でどうにか凌いでいた。何かときつい。だが、ネット小説の原稿を綴り始めてリズムが出来、仕事もはかどる。極稀に大量の原稿を書くこともあるのだが、今一つ金にならない。俺自身、文壇での知名度も低く、売れてないからだ。

 かと言って媚びへつらう売文を書くかと問われれば、そんなことはない。執筆する事件モノも妙な拘りがあって、それが故に一般受けしない。同じ時代に作家として生きている人間で、俺のように売れない物を書き続ける人間もレアだろう。元々金儲けに関心がないのだから……。

 実際、今の状態でも十分食えるのだ。原稿を規定枚数書きさえすれば。雑誌連載などは、先行して入稿していた。そして一日の執筆時間が終われば、それからは一文字も書かない。極めて健康的だ。売れている作家で、絶えず原稿に追われ続ける人間と違って……。

 秋風が吹き付ければ、冷え始める。常にいろいろ考えながらも進んでいた。変わらずに努力を続けているのだし……。もちろん単行本などが出版されても、目立って部数が出ないから、尚更売れないままの状態が続くのだけれど……。(以下次号) 


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