第144話
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その日も午後をゆっくりと過ごし、夕方には食事を取って入浴した。そして午後九時前にはベッドに潜り込む。すぐに寝付き、夜中に一度目が覚めながらも、明け方まで眠れた。午前五時に起き出し、キッチンへと行く。カフェオレを一杯淹れて飲んだ。
朝食を取って、洗面も済ませ、書斎に入る。パソコンを立ち上げて、キーを叩き始めた。朝は原稿の執筆が進む。書き掛けのドキュメントに加筆していった。
確かに心身ともにきつい。だが、思う。冬の寒さもいずれは過ぎ、また春が来るだろうと。別に深く気に留めることもない。単に一時的に感じる辛さだ。それに原稿が進んでないわけじゃない。むしろ不調の時の方が大いに進むのだった。
合間に休憩する時、コーヒーを淹れて飲む。カフェインの量は以前よりだいぶ減っていた。飲み過ぎると、夜間の睡眠に悪い。昼間は起きているからいいのだが、夜は眠るから、夕方のコーヒーはなるだけ控えていた。
リズムが朝型だから、午前中がよくても、午後は幾分疲れる。それに執筆が終わると、気が抜けていた。やはり人間は生き物だから、過熱することはない。最近、そういったことも分かってきつつあった。
誰でも自分の仕事が終わると、安心する。そんなものだ。作家も原稿を書くにしても、限界がある。昔はそんなことを考えずに、がむしゃらにやっていたのだが、今はそんなことはない。それだけ年齢を経たということなのだが……。
昼前に仕事が終わり、パソコンを閉じて、ゆっくりし始める。読書などをしながら、過ごした。書斎の椅子に座って本を読む。時間は過ぎていく。留まらずに……。(以下次号)




