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本を書く仕事  作者: 竹仲法順
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第10話

     10

 仕事が終われば、後の時間はテレビ鑑賞や読書などに充てる。何かと疲れていた。日々自宅マンションにこもる。慢性的に出不精だった。まあ、必要とあれば外に出る。夏の暑さは直に終わりで、秋が深まっていくと、また気も変わるだろう。ずっと続く感情も苦しみもない。いつかは終わる。

 その日も午後十時前には眠った。夕食を取り、シャワーを浴びて、体の疲れを落としてしまってから休む。一晩眠ればまた朝だ。朝起きはするのだが、体のだるさを感じる。もちろん、疲れていても執筆は仕事だから、やるしかない。

 日曜も午前五時に起きて、朝食を取り、身支度を整えて書斎に入った。パソコンを立ち上げて、キーを叩き出す。原稿を書き始めた。ディスプレイに文字を映し出しながら……。

 実家には十年以上帰ってない。アル中のオヤジがいるからだ。朝から大酒を飲み、酔っ払って家族に対し、散々暴力を振るう最低最悪の人間である。オヤジなど、カスだとしか思ってなかった。もう縁は切れたのだ。あの人間に言うことは何もない。それに俺だって金銭的に困っているわけじゃないのだから、実家からは完全に離れてしまっている。

 何かしら鬱のようなものがあった。定期的に精神科に掛かっているのだが、ドクターは横文字の長ったらしい名前の薬を処方してくれ、それを飲んで症状は収まっていた。別に入院の必要などない。入院すると、返って体調を壊す。担当医もそれは分かってくれていた。それに出版した本は病院に献本し、待合室の本棚などに置いてもらったりしている。俺が現役の作家であることは皆、知っているのだ。

 毎日、そう変わらずに流れていく。ネット小説の原稿も書いていた。一日に三回分ぐらい執筆する。働き蜂のようにしっかりやっていた。キーを叩き、原稿を綴っていく。午前中が執筆時間で、午後がテレビか読書だ。別に邪魔する人間はいない。独り暮らしは、誰にも迷惑を掛けることがないのだ。マンション近辺の騒音などがひどいことはあるにしても……。

 午前中原稿を書き、昼食前に洗濯して、溜まっていた洗濯物を片付けた。そして午後からは録っていたテレビ番組を見る。いい日曜だった。ゆっくり出来て……。(以下次号)



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