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主捨選択

作者: IRENE

突発的に思い付いた。

 ――――昔から僕には変な習性がある。

 それは、捨て癖だ。

 何か嫌な事がある度に、それに関連性のある物を捨てるのだ。

 友達とケンカをしては貰った物や一緒に写ってる写真を捨てたり。

 スポーツで挫折を味わえば道具を全て捨てたりしていた。

 この段階まではまだ良かった、前に友達にこの癖を話た時はドン引きされたけれども。


 ……この癖が悪化したのは彼女と別れた時だ。


 きっかけは些細なケンカだっで、ケンカをした僕は何時もの様に彼女に関連した物を捨てて行った。


 先ずは、彼女と行った場所や彼女と写ってる写真。

 次に、彼女に貰った物や彼女とお揃いの物を。

 その次に、彼女と選んだ服や家電。

 最後に彼女が止まった家を引き払ったら完成だ。


 家まで引き払うのは今回が初めてだけど思ったよりもスッキリしない。

 なので、唯一残った彼女の連絡先、此を消したらスッキリするかと考えた。


 …………彼女に義理として別れのメールを入れた。


 そして僕は彼女の連絡先を消した……。


 その後、機種変更をして僕のアドレスと電話番号を一新したら完成だ。


 今思えば、この時が僕の分岐点だったのだろう。

 それからの僕は、今までに増して捨てる様になり、人との縁までも捨てる様になった。


 友達とケンカをした……

 貰った誕生日プレゼント――ゴミ

 一緒に旅行に行った時の写真――ゴミ

 友達の連絡先――ゴミ


 彼女と口論した……

 初めて買ったペアマグ――ゴミ

 旅行のお土産――ゴミ

 彼女の為のクッション――ゴミ

 彼女の存在――ゴミ


 両親に結婚をせかされた……

 高校の入学祝い――ゴミ

 大学の入学祝い――ゴミ

 会社の入社祝い――ゴミ

 両親との戸籍関係――ゴミ


 大夫片付いたな……

 此で僕を困らせる物は無くなった……。


 数日後。

 ……あれ?何で大事にしていた本が無いんだ。

 良く見ると大好きだった時計も無い、宝物のカバンも無いし……。

 あぁ、こんな悲しい気分の時は何か捨てないと……。


 食料――ゴミ

 生活雑貨――ゴミ

 娯楽品――ゴミ

 家電――ゴミ

 家具――ゴミ

 服――ゴミ


 気付けば朝から捨てていたのに、もう夕方になっていた。

まだ、悲しい……もっと捨てないと。

 だけど、もう、家くらいしか残って無いや。

 あぁ、まだ残ってた。

 けど、どうやって捨てよう。

 ……良い方法を思い付いた。

 此なら家も一緒に捨てられるし、ちょうど良いよね。


 これで、やっと、僕を苦しめる物全てから解放されるね。


 ――――その夜、とある町では明け方までサイレンが鳴り響いていた――――

積み重ねが糧になるんですよ

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