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心霊怪談百鬼夜行  作者: 八月季七日
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ケース3 自殺サイトの人

 自殺サイトというものを知っているだろうか。インターネット上で自殺志願者を募って集団自殺を促すサイトだ。


 インターネットが普及しだしたころからこの手のサイトはあり、一時期話題にもなったが、最近はあまりニュースなどで話題にはならない。


 でも、そういったサイトがなくなったわけじゃないんだ。社会の関心が薄れているだけで、自殺サイトの被害は今だなくなっていない。


 僕の姉は、去年、自殺サイトの仲間と一緒に自殺した。明るくて基本優しいが、ちょっと悪戯好きの性格をした姉は、友人も多く、何で自殺したのかは、姉の日記を読むまではわからなかった。


 姉の日記はある日を境にだんだんと変になっていっていた。


●月●日


 今日、変なメールが届いた。インターネットのリンクが張ってあるメール。アクセスするとイヤラしいサイトに登録されて架空請求が来るやつだろう。こういうのは普通無視するのが正しいけど、逆手にとって奴らをからかってやろうと思って、アクセスしてみた。


 繋がった先は、『自殺同好会』と不気味な文字で書かれたサイト。自殺サイトという奴だろう。気味が悪い。すぐに接続を切った。

 

●月●日


 数日前の自殺サイトからメールが届くようになった。勝手にメールマガジンの登録がされているようだ。サイトに接続して、管理人宛てにメールを出さないようにメールを送った。送信先不明でメールが返ってきた。


●月●日


 着信拒否もしているのにメールが届く。メールにはいつも違う住所と日時が書かれている。ここに来いってことだろうか。行くわけがない。


 でも、スマホの電源を切ってもメールが来ると勝手にスマホが立ちあがり、着信音を立て始める。頭がおかしくなりそうだ。


●月●日


 まだメールが届く、家族に相談しようかと思ったが、きっかけが架空請求会社をからかうことだったので、言ったらまた怒られるかもしれない。それは嫌だなぁ。


 なんか段々メールにも慣れてきた気がするし、しばらく様子を見よう。


●月●日


 メール! メール! メール! メールが来るとなんか楽しい。心が躍る。数日前はメールを不快に感じていたはずなのに、今はメールを待ち遠しく思っている。


 今日来たメールの住所……家の近くだ……日時は……明日23時。


●月●日


 待ち合わせ場所に時間どうりに行ってみた。そこには数人の人が集まっていた。性別も年齢もさまざまだが、みんな精気のない虚ろな表情をした人たちだ。自殺志願者だろうか。

 暫く待つと、一台のワゴン車がやってきて、リクルートスーツを着た20代の女性が降りてきた。


「さぁ、皆さん乗って下さい」


 彼女の一声で集まっていた人たちはワゴン車へと乗っていく。


 私はなんだか少し怖かったのでその場で動けずにいると、彼女が近づいてきた。


「迷っているの? だったらまだ乗ってはダメよ。命は一つしかないから大切にしなきゃいけない。悩みがあるなら相談にのるわ」


 彼女は優しくそう言って私にメールアドレスの書かれた名刺を渡しくてくれた。


●月●日


 アレから数日。私は彼女に色々と相談に乗ってもらった。彼女は優しい。頼りになる。今まで誰にも話せなかった悩みなど、親身になって聞いてくれた。


 幸せだ。


 もう、これ以上思い残すことはない。


 お父さん、お母さん、○○(←僕の名前です)、今までありがとう。私は幸せです。だから幸せのまま終わりにするね。本当にありがとう。





 姉の日記はここで終わっていた。


 “彼女”というのは自殺サイトの運営者か何かなのだろう。姉はこいつに騙されて自殺するよう唆されたに違いない。僕は許せないと思った。


 だから姉のスマホを調べてみた。姉へ頻繁に送られてきているメールがあった。確認して見ると空メールだ。本文は何も書いていない。タイトルには『Re』と入っていて、それが新しくなるほど多くなっていく。まるで姉からのメールに返信しているようにその空メールはたくさん届いていた。


 背筋にぞっとしてものを感じた。


 今度は姉の送信メールを開いてみる。例のアドレスにたくさん送っていた。内容はたわいもない世間話や悩み相談のようなものばかり……


 姉は空メールしか帰ってこないアドレスに、まるで会話のやり取りをしているように延々とメールを送っていた。


 意味がわからない。姉は壊れてしまっていたのだろうか。僕は意を決して、そのメールアドレスへメールを送ってみた。


『○○の弟です。姉は自殺しました。アナタのせいなんですか?』


 すぐに返信が帰ってきた。


 丁寧な言葉遣いで、姉を悼んでくれているような内容だった。それから僕は彼女とメールのやり取りを行い、姉のことを色々聞いた。


 姉は色々なことで悩んでいたそうだ。彼女は励まし説得したそうだがダメだったそうだ。


 姉が死んで疲れていた僕は、彼女に胸の内を吐き出した。彼女は親身になって話を聞いてくれた。胸がすっとして、気分が楽になった。幸せな気分だ。


 姉もこんな気持ちだったのだろう。

 

 姉も色々悩みがあってつかれていたんだ。

 僕も姉が死んでからつかれていた。


 そう、憑かれていたんだ。

 

 待ち合わせ場所は家の近く、時間は10分後。

 これから僕は逝ってきます。


 みんなは自殺サイトの人には気をつけて……






自殺を助長するものではありません。

自殺では決して幸せにはなれません。


辛いなら生きながら辛さから逃げる方法を見つけてください。

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