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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役姫シリーズ

悪役姫の従僕は色々ぶっとんでます。

作者: 万里

「はぁ、はぁ」


皆様、御無沙汰しております。クレアです。わたくしは今、悪役界のテッペンをとるべく、日夜ランニングに勤しんでいます。

え?ランニングが何故必要かって?勿論、美容のためではないですよ。皆様はご存じではないようですが、この「ロイヤル・パーティー」の全ルートの悪役がクレア一人だからです。余談ですが、このゲームはハーレムルートは存在せず、ルートごとに主人公が異なるという異色のゲームなのです。それゆえ、同時進行で全てのイベントが進行します。

どういうことかと言うと、例えば乙女の憧れ、舞踏会。デブレアはまず、ヒロインAのドレスを破き靴に画鋲をしこみ、ヒロインBの攻略対象にエスコートされて舞踏会に現れた後、ヒロインCにワインをぶっかけ、ヒロインDの攻略対象と会場のど真ん中でダンスを踊り見せつけるという、まさに過密スケジュールをこなさねばなりません。ぶっちゃけ、労働基準法とやらがあれば軽く引っ掛かると思います。

まぁ、でも、場所が離れてないイベントならまだましな方だ。例えば3階の音楽室で嫌がらせをして、1階の家庭科室に現れ、6階の教室に戻るなんて物もあった。

クレア、ヒロイン関連のイベントを前触れなしで漏らさず嗅ぎ付けて、すげぇな。実はヒロインのファンかストーカーか。もしやピー(自主規制)の薔薇の人なのか。それ以前に瞬間移動か影分身でもマスターしないと、こなすの無理だよね?ってレベルで引っ張りだこなのです。ヒーローより登場回数多いのだから、もっと讃えられても良いと思う。彼らはヒロイン1人のナイトを気取れば良いけど、クレアは同時進行で複数人に嫌がらせをせねばならないのだ。しかも、そこまで人の恋路を盛り上げるために利用された後、ぼろ雑巾のように使い捨てられる。損な役回りだ。

誰が好き好んで悪役界のテッペンとやらをとるものか。ヒロイン、ヒーローの方が悪気が全くない分、することが酷い。全く愚兄様には慰謝料を要求したいものだ。これにより受ける心労を考えると、無事に幕引きを遂げた暁には将来受け継ぐ領土の半分くらいは貰っても良さそうだが。


「はぁ、はぁ、はぁ」


走る度に肉がぶるんぶるん、揺れる。それを見て、一人の男が息を漏らしている。あぁ、誤解している方もいるようだが、これは私の息切れの声ではない。確かに、激しい運動はしているけれど、元は超ハイスペックなアザラシばでーなのだ。この程度でへばったりはしない。その代わり代謝も異常に悪いから痩せにくいのだけどね。


「さっきから気持ち悪いですわよ。ライカ」


そうなのだ。実はこれ、最近、クレア専属の使用人に採用されたくライカ=ハフマンがクレアの肉揺れに興奮して漏らしているため息なのである。あ、ちなみに彼は攻略対象者様の一人である。見た目はさらさらの茶髪に、アメジストの瞳が素敵なイケメンだけに残念だ。本当に。


「姫様、たまりません!揉んでもいいですか?」


「駄目に決まってるがや!」


手をわきわきさせながら、近づいてくるライカ(変態)の顔に間髪入れず蹴りを入れた。おっと、いかん。お姫様キャラが崩壊しかけている。え?ライカは大丈夫かって?立ち直り早いから大丈夫です。無問題よ。

ライカは転生者ではないが、デブ専だ。ゲームでのライカはちょっとMっけのある普通のイケメンだったが、どうしてこうなったのかわからない。謎のゲーム補正が働いているとしか言いようがない。出会った時からこうだった。或いは画面で見切れているときはこれが通常運転なのかもしれないが…。

一つの疑念がある。愚兄も含めて、もしかしたらデブレア逆ハーレムルートに突入しているのではないか?いやいや、待て。仮にデブレアが逆ハー突入したら、悪役界のテッペンとるの無理だよね。そもそも、変態ばかりに好かれても全く嬉しくないぞ。


「はぁ。クレア様」


恍惚とした表情で鼻血を垂らしながら、丸太のようなクレアの足にすがり付くライカを見て、背中が総毛立った。反射的に右ストレートでライカの顔を殴る。ボールのようにライカはぶっ飛び、地面にこてん、と気絶した。愚兄様とは違う意味でこいつはヤバイ。立派な病気だ。

ヒロイン、カモーン。回収を要求する。熨斗をつけてお譲りしようじゃないか。早く来てくれ、頼む!

心の中で祈りながら、どすどす、と走る。こんな来世になるなら、二度と横領も他人の恋人を寝とりもしない。今なら誓える。

ありがとうございました(*´∀`)♪

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