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Survivors War  作者: ノイジー
第二部
4/23

初心者魔法使い

 女の子に引っ張られて俺はホテルの一室に連れてこられた。安そうなベッドに丸机が1つと椅子が2つ、そして恐らく意味はないのだろうが部屋全体のバランスを考えてかタンスが置かれている。

「どうぞどうぞ~」

 椅子を勧められたので腰を下ろすと女の子は机を間にはさんで正面に座った。

「で、俺に色々教えてもらいたいってのは一体どこから?」

「えっとですね。私このジャンルのゲームは生まれて初めてなんですよ。だからよければ本当に基礎の基礎から」

 こりゃまた面倒な子に目を付けられたものだ。と言うか生まれて初めてのアクションRPGがSurvivorsWarって中々根性あるよ。

「取り敢えず大雑把な説明をするとだな、モンスターを倒してLvを上げる。そして自分自身を強化していって最終このゲームのラスボスを倒すって感じだね」

「その、モンスターと戦うにはどうすれば……」

 本当に初心者だな。

「君が俺を見付けた場所があるだろ。あそこの道を抜けるとフィールドに出る」

 ここからみっちり女の子への教育を30分施す。一問一答って感じで応答していったので時間的には問題なかったが俺にとっては今更な質問が多すぎて最後の方にはうんざりしてしまったが何とか表に出さないよう努めた。

「説明は多分このくらいだな。後は実際に戦ってみないとShvel Kaiser機は教えようがねぇよ」

 そう言って俺は席を立つ。女の子は何故かションボリと肩を落としている。

「おい何してんだよ。今から戦闘のしかた教えるんだからお前も来るんだ」

「えっ、いいん……ですか?」

「当たり前だ。完全初心者のしかも女の子をほっていけるほど俺は冷徹じゃねぇよ。ほら行くぞ」

 瞬間、女の子は先程の表情からは想像も出来ない満面の笑みを浮かべて大きな声で返事をした。

 ホテルを出ると明らかにプレイヤーの数が減っている。多分皆Lv上げに向かったのだろうが逆に今は好都合だ。俺はフィールドへは向かわずに装備品が揃う露店へ向かった。

「あの、フィールドに行くんじゃないんですか?」

「フィールドに行く前にまずは君の装備を整えよう。まだ始まったばかりだから強い装備は売ってないだろうけど初期装備よりマシなものぐらい売ってるだろ」

「でも私お金が……」

 プレイ直後にもお金は持っているがポーションとか消費アイテムを数個買えるほどしか持たされてない。

「その辺は心配するな。さっきゴブリンから回収したアイテムを売ったらなんとかなるだろ。初ジャンル記念ってことで奢ってやるよ」

 奢ってやると言ってもゲームの世界だと情けなく聞えてしまう。なんせモンスター倒したら勝手に出るんだもんな。

「そ、そんな悪いですよ!」

 手と頭をブンブンと振って駄目だとジェスチャーする。

「何言ってんだ既に30分って時間を裂いてるんだよ。どうせこの後も戦闘を教えなきゃならないんだからここは奢られときなさい」

 かなり強引な言い方だが俺に一応恩がある手前強く言い返せない女の子は渋々ながらコクンと頷いた。

 装備露店の近くには武器強化の店や素材を販売、合成する店と一通りの店が軒を連ねている。

「いらっしゃい!」

 浅黒い肌色をした筋骨隆々のNPCが屈託のない笑みを浮べて俺と女の子を迎え入れる。武器の販売は流石に実物を展示しておくと場所がいくらあっても足りないので名前と値段が書いてあるタグに触れるとアイテムとステータスが見れるようになっている。

「オヤジ、売却したいから買い取ってくれ」

「まいど」

 店員の声に反応するように俺のアイテムボックスが表示される。中に入ってるのと言えばゴブリンやら獣から回収した正直集めようと思えば何時でも集められるものばかりなので全てにチェックを入れて売却した。

「じゃあ買取値5320cfね」

 cfはこの世界の通貨だ。

 初期の金が2000cfだから7000cf強か、これだけあれば足りるだろ。

「っとそうだ、君のジョブを聞いてなかったな。何にしたんだ?」

「ジョブって装備に関係あるんですか?」

「それぞれのジョブに応じた装備があるんだよ。例えばナイトなら魔法を使わないからMP関係の追加効果がない代わりに防御力が高い。因みに俺はパラディンだから両方同じくらいの装備が多いけどな。で、ジョブは?」

「なるほどです。私はマジシャンです。やっぱり女の子は魔法使いに憧れがあるので!」

 あぁ、一昔前は女の子と言えば魔法使いのキャラ主人公のアニメ多かったからな。いや、今でも需要はあるか。

 とにもかくにも彼女は魔法使いなので物理防御力が高めの装備を買うことにする。装備は武器の他に頭,腕,胴,脚とアクセサリーの欄が4つ。アクセサリーは金が余ったら買えばいいので1500cf強の装備を揃える。

 本来はPvPーーPlayer vs Playerの略ーー制度。まぁ簡単に言えば自分の力量を測るためにプレイヤー同士で戦う決闘制度があるから自分の装備は他人に見せないんだけど。

「む~見ても分からない」

 この子に決闘を申し込む気もないし大丈夫か。

 結局装備は値段が1100cfで統一されている同じ系列の装備を買ってやった。同系列の装備で得れるスキルはAGI5%UPだ。

「さてと、金が余ったしアクセサリーも買うか」

「そ、それ私が選んでもいいですか!?」

「お、おう」

 やはり女の子はアクセサリーの類に目がないらしい。

 レベルが上がっていくとアクセサリーと言えバカに出来ないけど、今のレベルなら大丈夫だろう。

 因みに先に買った装備は既に装備させてあり、一応気遣って女性専用装備を選んでみた。頭には防御力なんて本当にあるのか疑問に思ってしまうオレンジのリボン。胴体は白のラインが入ったものにショートパンツ。腕は袖口にフリルをあしらってあって脚は動きやすそうな革製のハーフブーツ。系列が同じなのでもちろん色も同じなのだがその色が明るいオレンジ色と中々に派手である。

「えっと~」

 女の子の目が会った中で1番キラキラと輝いている。ジーっと女の子を見ているとどこかで会った気がしてならない。もちろんゲームではなく現実世界でだ。だけどヘブラトク社では興奮して周りに視線を配っている余裕もなかったので違うだろう。となるとそれ以外になるんだけどーー

「ど、どうしたんですか、さっきから私のこと見てますが」

「え、あぁごめん。随分と楽しそうに見てたからついな」

 これ以上の詮索は失礼なので俺もアクセサリー探しを手伝うことに、だがいざ選び始めたらやれセンスがないだのやれ服の色と合ってないだのボロクソ言われてしまった。くそぉ俺が何したって言うんだよ。

 アクセサリーを買い終わった俺達は余ったお金で適当にポーションを買い揃えてフィールドに向かう。

 あちらこちらでプレイヤーの姿が見受けられて正直俺達の分のモンスターは望めそうにない。

「しゃ~ねぇもうちょっと先に向かうか」

「えぇ~危ないですよ!」

 女の子は俺の服を掴んで拒む。

「大丈夫だっていざとなったら俺が盾にでもなって君を守ってやるから」

「ーーッ、は、はい……」

 突然塩らしくなってしまった女の子。てか俺はいつまで女の子って呼び続ける気だいい加減名前を聞いておくべきだろ。

「そう言えば君の名前は?」

 段々プレイヤーの姿が少なくてきたころ、あたかも今この瞬間にふと思い浮かべた感を出して俺は女の子に尋ねる。

「むぅ……人に名前を尋ねる時は自分から名乗るものです」

 プクーと、頬をリスのように膨らまして抗議してきた。それがまた小柄な身体と相まってこう……むぎゅ~っとしたくなった。いやしないけどね、したら俺このゲーム内で居場所なくなっちゃうもん。

「はいはい、俺はこういう者ですよ~」

 自分のプロフィールを表示して指で弾くとクルリと反転して女の子の方を向いた。因みに書いてあるのは名前と性別、それに自分のジョブとレベルくらい。逆にそれ以上になるとスキルとパラメーター重視のこのゲームでは命取りとなるのだ。

「Kaname、カナメさんですか。お歳はいくつですか?」

「……君ってオンライン初めてだろ」

「はい、そうですけど、何で分かったんですか?」

「普通オンラインではリアルのことは詮索しないのが暗黙の了解なの。まぁ親しくなれば別だけど、そういうの嫌う人もいるから注意するんだな」

「なるほど、です。して、お歳は?」

 この子人の話聞いてたのかなぁ?

「……17だよ」

 本当はあまり公開したくないのだがこうでもしないとこの子は引き下がらないと本能的に察知した俺は渋々自分の年齢を言った。

「さぁ、そっちのプロフィールも見せてくれよ?」

「もちろんです。私はそんなズルイことはしません」

 メニュー画面を開いた女の子、だがその指がピタリと止まった。多分プロフィールの表示方法が分からないんだろう。

「はぁ、下から3番目のプロフィール表示。後は俺がやったようにすればいい」

「しのびねぇな」

「かまわんよ。って何言わす」

 ついつい乗せられてしまった。

 気を取り直して女の子のプロフィールを見る。名前はNoi、そのままノイだと思われる。性別は女、これで男なら今すぐ身ぐるみ剥がして装備を店に売りつけてやるところだった。年齢を尋ねるのは流石に気が引けたので聞かない。

 名前を教え合ったところでプレイヤーの姿が見えなくなる。どうやらかなり先に進んでいるようだ。草原から若干森に近付いているのか木々がちらほら生えている。

「それじゃあ今から実地訓練を始めます」

 先生ぶったら丁度目の前にモンスターがポップする。初めて見るモンスターなので名前が表示されていないが見た目が蜘蛛のようなのでなんちゃらスパイダーとかそんな感じの名前だろう。大きさは縦横1Mほど、正直気持ち悪い。

 モンスター情報は倒してアイテム回収を重ねると段々明かされていく。レベルは場所によって変わるので図鑑には載せられないが、自分のレベル未満は名前の下に表記され自分のレベルを上回っていたら“?”となる。目の前のモンスターのレベル表示は“?”つまりLv4以上となる。

「うぅ……蜘蛛さんだぁ」

 どうやらノイには苦手な相手そうなのでお手本ということで俺が倒す流れに。腰の鞘から刀を取り出して蜘蛛型モンスターに切っ先を向ける。魔法の使い方は至ってシンプルで、相手に魔法使用を可能とする剣、もしくは杖を相手に向けて呪文を唱えるだけ。上級になると地面から攻撃したりとバリエーションが増えるって取り扱い説明書に書いてあったけど今は下級しか覚えていないので関係ない。

「ワクワク、ドキドキ」

 隣のノイがちと鬱陶しいが問題ない。

「フレーー」

 呪文を唱え終える瞬間にモンスターが口から粘着性のありそうな蜘蛛の糸を発射して詠唱を止めてしまった。だが慌てずもう1度唱え直す。

「フレア!」

 剣先に現れたのは炎属性の下級魔法。バスケットボールくらいの大きさで蜘蛛の糸を焼きながら愚直な直進運動でモンスターとの距離を縮めていく。

 もちろん硬直状態のモンスターに直撃。甲高い呻き声をあげてひっくり返ってしまう。

「おぉ~」

「よし、んじゃやってみろ」

 今のレベルのモンスター相手でノイに教えることなんて本当はほとんどない。魔法使いに必要なのは攻撃を当てることじゃなくていかに攻撃を食らわないかにある。

 俺の言葉にノイは凍結状態異常に掛かったかのように固まってしまった。だが相手がひっくり返っている方が何かと楽なので強引に前に押し出す。

「手順は見た通り。多少の誤差ならプラグラムが補正を掛けてくれるから安心しろ」

「はい」

 見るからにブスッと拗ねているノイは渋々オーラを発散しながら初期装備の杖を相手に向ける。

「えっと確か呪文は、フレア!」

 ノイの呪文に呼応してロッドが赤く変色し、俺の時より少し大きめの炎球がモンスターに着弾した。ここらへんにオートマイティーのパラディンと専門職である魔法使いの差が表れる。

「やった、当たった当たった!」

 たかが一発当てただけでえらい喜びようだ。しかし相手はまだまだやれそうな雰囲気を醸し出しながら起き上がった。

「じゃあそっちは任せたぞ~」

 ノイの肩を叩いて俺は言った。

「ちょっとカナメさん何いっーー」

 抗議の声をあげようと振り向いたノイだったがその言葉の終わりを聞くことはなかった。ノイの視線の先、つまり俺の後ろにはどこからか湧き出てきたモンスターが沢山ポップしていた。数にして10体、種類は3種。

 そのすべてのレベルが“?”になっていて自分よりレベルが高いことが分かる。普通はテンパってしまうのだろうがオートリカバリーのお陰で緊張感はあまりなかった。

「お前は目の前の敵に集中してたらいいからな。間違っても助けを求めるなんて情けないことするなよ~」

 腰からブレードを抜き出して構える。チラリと後ろに視線を向けるとノイが心配そうな視線を向けていた。

「言ったろ。俺が盾にでもなってやるって、ノイには傷1つ付けさせやしねぇよ」

「……そんなの当たり前です。サッサと倒しちゃってください」

 突き放すように言ったノイ。だが耳まで真っ赤に染まっているのを俺は見逃さなかった。

「はいはい、お任せくださいお嬢様」

 再び視線を前に戻すと正面にいたフンガーーノイと会う前に倒したーーが突っ込んできていた。

「ほいっと」

 パワーは凄いだろうが動きが単調過ぎる。身体を横にズラして地面と並行に一閃すると無様な声をあげて倒れた。数が数なだけに一々アイテム回収などしてられない、タゲは俺に付いているのでノイから少し離れて戦闘再開だ。

 蜘蛛型モンスターの糸攻撃をフレアで打ち消し、足元でウロチョロしているもう1体を踏んづける。Survivors Warは武器なしでも相手の動きを制限出来るのでそれをフル活用しない手はない。

 今度は後ろと左斜め前からの同時突進。敢えて交わさずに前からの敵に突っ込みながら顔面を蹴って方向転換、すると後ろから来てた奴と正面衝突してしまい目を回した。

 どうやら頭部への打撃が有効みたいだな、覚えておこう。

 いずれ役立つであろう情報を頭に詰め込みながらブレードでひっくり返っている蜘蛛の身体を地面ごと突き刺して殲滅、後はもう同じ行動の繰り返しだ。糸攻撃はフレアで返り討ち、フンガの頭をブレードの腹で殴って昏倒させ余裕があれば倒す。そんな半分流れ作業のようなことを5分ほどするといつの間にやら全ての敵を倒していた。

「まっこんなもんだな。接近戦は教わるんじゃなくて自分でコツを掴む。それが1番の近道っと」

 ギリギリ消滅していないモンスターからアイテム回収をして流石に倒したであろうノイの方に視線を向ける。

「こっちは終わったけどそっーー」

「きゃ~! カナメさん見ないでぇ~!!」

「……何してんすかノイさん」

 てっきり倒していると思っていたノイだったが残念ながらそうはなっていなかった。

 今のノイの姿をありのままご説明しますね。

 ノイさんは現在蜘蛛の糸によって自由を奪われています。両腕はちょっと離れた場所にある木に糸で縛られ宙吊り状態、脚は地面に自慢の粘着性でもって引っ付いていて開脚状態。宙吊りということは俺の視線は自然と下から見上げる形になり一言で言うと……

「ものすんげぇエロい」

「心の声が漏れてますよ!! そんなのいいから助けてください!!」

 いやぁお色気イベントは重要ですよ?

「いやぁぁぁ! 蜘蛛さんが隣にぃ~!」

 蜘蛛が苦手なノイは目に大粒の涙を溜めている。後数秒もしたら泣き出してしまいそうだ。しかたないなぁと溜息を吐きながら俺はノイの縛られている木の幹を足場にして2段ジャンプをして枝をブレードでぶった切った。

「よっと…」

 空中でノイをお姫様抱っこでキャッチして着地、リアルなら足が痺れてるだろうけどここでなら大丈夫だった。

「ったく何で俺を呼ばなかったんだよ」

 ノイに絡められている糸を切りながら尋ねた。蜘蛛さんはカサカサとした遅い動きで移動するので全ての糸を切断するには十分だった。

「だって、カナメさんに迷惑掛けられないし」

「ほうほう、それで本音は?」

「カナメさんに助けられるなんて癪じゃないですか!」

「子どもか!」

 脳天にチョップする。俺ってツッコミ担当だったっけ?

「それにMPも切れちゃったし」

「ちゃんとそっちの回復アイテムも買っただろ?」

「使い方が分かりません!」

「威張るな!」

 再び脳天にチョップ。生意気にも真剣白刃取りをしようとしたのでタイミングをずらして打ち込んでやった。

「まったく、HPは大丈夫なんだろうな?」

「はい、糸で絡まれただけなのでーーあっ、カナメさんのチョップのせいで減ってますね2㎜ほど」

「そりゃ誤差の範囲だから大丈夫。ほら、これ飲め」

 腰にあるポーチからMPリジェネの瓶を取り出して渡す。このポーチには10個までアイテムを入れることが出来て戦闘時にメニューを開いている余裕がない時には非常に役立つ。とか言ってるけど俺が自分に使う日はいつになることやら。

「うげぇ、苦いです」

「なるほど良薬は口に苦しと」

「私に毒見させたんですか!」

「だって俺MP尽きても戦えるし」

「キーーーッ!」

 まだ一緒に行動して数時間だけど1つ分かったことがある。ノイをからかうのは非常に楽しい。

 漫才をしている内に蜘蛛が戻ってきた。

「ほらほらその怒りをあの蜘蛛さんに向かって発散させなさい」

「蜘蛛ぉぉ~!」

 単純な奴。

「フレアフレアフレア!!」

 MPが尽きるまで攻撃されていた蜘蛛は怒りのフレア3連発によって撃沈した。それと同時にノイの頭の上にLEVEL UPの文字が2回連続で浮かぶ。

「や、やったぁ! レペルアップです!」

「おめでとさん」

 適当に褒めてやると目の端に蜘蛛が消滅するのを捕えた。アイテム回収のことをスッカリ忘れてしまっていた。

「カナメさん、カナメさんのレベルはいくつですか?」

「えっと確か3だったはずだけど……」

 熟練度が上がっていないかを確認しながらチラリと自分のレベルを確認する。

「へへ~んこれで私もカナメさんと並びま」

「あ、俺もレベルアップして7になってるわ」

「した、よ……へ?」

 嘘ですよね。と瞳で訴えるノイにプロフィール画面を向ける。

「……な」

「な?」

「なんでなんですか! なんで最初の倍も差が出来てるんですか!」

「当たり前だろ。いくらレベル差があるって言ったって初めの方はレベルアップは早いんだ。それに俺の方がモンスター倒してるし」

「そ、そうでした」

 残念無念とはこういう時に言えばいいのか。変なところで勉強になるものだ。

「どうする。まだ続けるか?」

 ソロならまだまだ続けるんだけど今はノイがいるからいるから尋ねた。

「そ、その……非常に言いにくいんですが、安心したら腰が抜けちゃって」

「……情けない」

「しょうがないじゃないですか! 私はか弱い乙女なんですよ!?」

「か弱い乙女は自分でそんなこと言いません。ったくほら」

「……何ですか」

 何ですかって背中を向けてしゃがんだらすることなんて決まってるだろうに。

「おんぶしてやるから早く乗れ。嫌なら蜘蛛が群生しているここに置いてーー」

「失礼しますっ!」

 声の割には遠慮がちに俺の背中に乗るノイ。何だかんだ言ってもやはり女の子だ柔らかい身体はとても軽い。それにちょといい匂いが。

「……カナメさん、今エッチなこと考えてぇぇ~急に立たないでぇ~~!」

「サテ、モドルカ」

 ノイを背負っての帰還は時間が掛かりそうだ。と思ったその時、突然俺とノイのメニュー画面が独りでに開かれた。

「な、何々!」

「だぁ~耳元で叫ぶな。多分ヘブラトク社からのプレイヤー全員へのメッセージだろ。メッセージを開いてみろ」

 ノイは言われるがままメッセージを開くと未読のものが1件があり、それをタッチした。

『プレイヤーの皆様、Survivors Warはお楽しみ頂いているでしょうか、これよりイベント等のお知らせはメッセージにて連絡いたします。さて、栄えある最初のメッセージですが、今から10分後、23時よりSurvivors Warの世界は現実世界と時間を統一、つまり外が昼ならこちらも昼に、夜なら夜にとリンクいたします。そのため今現在フィールドで狩りをしているプレイヤーの皆様はすぐに町へ戻ることをお勧めいたします。

 それでは皆様、ご存分にゲームをお楽しみください』

「……ですって」

「ですってじゃねぇよ! ここから普通に走って10分はかかるだろうが!」

 その上ノイを背負ってだとなおさら難易度は上がる。まだ俺達は夜のフィールドを知らないので悠長に帰っている暇などない。

「そこはほら……はいよ~シルバー!」

「ちくしょ~~!!」

 主ノイを乗せた名馬カナメ改めシルバーは全速力で町へ向かって走り出した。

次回の更新は少し遅れるかもしれません。

もし楽しみにしていらっしゃる読者様がいらっしゃいましたら申し訳ございません。

コメント待ってますよ~(^^ノシ

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