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Survivors War  作者: ノイジー
第三部
23/23

ドロップアイテムは……

「うぉりゃあぁぁぁ!」

 ゴングの音とともにリックのハンマーが容赦なくギロチンシザーズを襲おうと空気を鳴らす。しかしギロチンシザーズはいとも簡単にハサミ1本で受け止めてしまった。これはつまり真正面から俺達の攻撃でダメージを与えることは不可能だということを残酷にも立証することとなる。

「アクアウィップ!」

 ノイの両掌から伸びるように現れた水の鞭。距離をつめようとするギロチンシザーズに牽制の攻撃をしかける。敵も味方も無視した攻撃なのだが、皆がかわしてくれると信頼してのものだろう。属性的にダメージが少ないにせよ、アルゴリズムによって最も自分に不利でない行動を取るギロチンシザーズは攻撃を全てかわす。

「一閃!」

 かわし続けると当然ながら隙が生まれる。そこにトウコのスキル“一閃”が炸裂する。これによりギロチンシザーズの1匹を一時的に戦闘から強制離脱、数的に負担が少しだけ軽くなった分皆の動きが一目で分かるほど良くなる。

「リック、隙を突いてこいつら遠くに吹き飛ばせる?」

「任せろおぉ!」

 言うが早いか早速パワーを見せつけるリック。クイーンクラブが攻撃をしかけてこない今が相手の陣形を崩すチャンス、俺もパーフェクトシュートで甲羅の隙間にパラライズショットを放って麻痺効果を与えて援護に回っている。

 そうやってギロチンシザーズを3匹吹き飛ばしたところでやっとこさクイーンクラブが動き出す。大きな初動を必要とする攻撃をかわすのは比較的簡単で、更にギロチンシザーズが避けるタイミングに合わせると回避率は飛躍的に上昇する。若干ノイが反応に遅れたがウォックが抱きかかえ、ホップを利用して見事にフォローする。最初に出会った頃からは想像すら出来ないほどチームワーク重視の動きだ。

 先程よりも明らかにチーム力が上がっている。クイーンクラブの倒し方はいまだ確立されてはいないが、これなら十分互角に戦うことが出来るだろう。

「さて、と」

 少し余裕が出来たことにより俺の頭は回転率を取り戻しつつある。現状での皆のステータスや相手の力量、その全てを吟味した結果、攻略に最も効率のいいやり方を導き出す。

「集合!」

 呼び掛けに反応した皆がギロチンシザーズを怯ませた隙に俺の周りに集まる。

「これ以上戦いが長引くのは避けたい、そこで私達は賭けに出ようと思うの」

 信じてくれているからか誰も何も言わない、ただただ俺の言葉を待っている。

「まず、トウコとウォックでギロチンシザーズを一直線に誘導してほしい、出来れば延長上にはクイーンクラブを置いてね」

「なるほど、さっきのノイの攻撃で貫通させるんだな?」

 理解が早いリック、わざわざ説明する手間が省けて非常に助かる。

「ノイは直線状になった時を見逃さないように待つだけじゃなくて自分でも動いてね?」

「はいっ!」

 良い返事も聞けたし、そろそろ向こうも攻めてくるだろう。

 魔法も回復アイテムも無限ではない。成功する保証だってない。だけど皆の顔には不安の色なんて微塵も映ってやいない。むしろ自分達なら成し遂げれる。そんな自信すら伺える顔をしている。

「さぁ、行こう!」

 一斉にノイ、トウコ、ウォックが走り出す。残されたのは俺とリックだけだ。

「そう言えばさ」

 不意にリックが口を開く。

「お前とタッグを組んで戦うのって、初めてなんだな」

「だなぁ」

 俺はノイに付きっきりだったし、リックは基本的に情報収集で走り回っていたから当然と言えば当然。戦闘中も1人でやっていける実力を持っている。でもどこか寂しさを感じるのは、やっぱり男同士、女とは異なる考えを共有出来る機会が少なかったからだろう。

「なんか不思議な感覚だ」

 見るからに重そうなハンマーを軽々と肩に乗せてリックは笑みを作る。

「お前とならどんな敵だろうと倒せる気分になっちまう」

 思いもよらなかった言葉に俺は何も言葉を返すことが出来ない。別に俺自身に特別な力があるわけではないのに、そんな考えが頭を過る。

「あんな化け物だってお前となら難なく倒せる。そんな自信が湧いてきてしゃあねぇや」

「おだててもなんにもでねぇぞ?」

「何言ってんだ。あいつを倒す策を出してくれるじゃねぇか、それだけで十分だ」

「ま、何にせよやってみないことには分かんねぇけど、な!」

 ギロチンシザーズに奮闘しているウォック達を横目に短剣を投げる。硬い甲羅によって弾かれてしまうが、クイーンクラブのタゲはこちらに向いた。

「取り敢えずあいつをその場から動かさずにダメージ与えるか」

「だな。あんまり動くとノイちゃんが狙いにくいだろうし」

 そうと決まると俺達は動き出す。真正面から向かっていくリックを補助する形で短剣を乱発、ダメージこそないもののタゲは俺に向きっぱなしなので攻撃は有効的と言える。

 リックが自分の間合いに入り込むと同時に俺も走り出す。両手に短剣を4本ずつ持って甲羅の隙間に照準を合わせ、敢えて攻撃範囲内に潜り込む。当然ながら上からのハサミの叩き落としがくるのだが、完璧なタイミングでリックが脚をぶん殴ってそれを阻止。ハサミでリックを払い除けようとするのだが一瞬俺の放った短剣が早い。8本のパラライズショットが全て脆い関節部分に突き刺さり、麻痺効果が付与される。

「お前のそのスキルチートだろ!」

「味方なんだから文句なしで!」

 鞘から新しく取り出した短剣にブレイクショット効果を与えてリックから1番距離の近い脚に放つ。言葉にせずとも行動の意味を理解しているリックは次の攻撃への溜めを行っている〃

「おおぉぉぉぉ!!」

 野太い雄叫びに呼応するかのようにハンマーが赤く燃え上がる。そして放たれる空気すら割りそうな残像を残す速いスイング。ドンッと重い一撃でバランスを崩すのを余儀なくされるが、リックの攻撃はこれぐらいでは終わらない。

 重いハンマーによって身体が左側に捻られている。そこから重戦士特有の馬鹿力によって左から右へのスイングが生み出される。振れば振るほど威力が高まっているように見えることからリックがスキルを使っていることが伺える。

「3、4、5ッ!」

 連撃を受けて反撃を返そうとするタイミングを俺は見逃さない。すぐさまパラライズショットで動きを封じる。

 チラリと他のメンバーの動きを横目で伺うと大方の作業は済んでいる。ノイは既に詠唱の途中、トウコとウォックは残り2体に苦戦している模様。

「リック、ここは任せる!」

 返事を聞かずに俺は走り出す。向かうは直線状から最も離れた所にいるやつ。トウコが一閃で吹き飛ばしたやつだ。

 俺の接近に臨戦態勢に入ったようだが若干遅い。牽制の短剣を放ち、相手が弾いている間に距離を縮める。

 短剣を逆手に持って腕を交差させ、持ち手を力一杯握りながら両腕をガバッと外に広げる。左右からの強烈な挟み攻撃は俺のオリジナルな動きではない、ヘブラトク社の“アサシンドライブ”というゲームの主人公が使う必殺技の動きを再現したものだ。

 ヘブラトク社のモンスターが同じ会社の別ゲームの主人公の技でやられるなんて奇妙なものだ。と、そんなことを考えながら全ての関節を本体から切り離す。最後に、達磨状態になったギロチンシザーズを仰向けにし、口に短剣を突っ込んで足の裏で体内に押し込んでやった。

 ゲームの中なので返り血が飛んでくることはない、その代わりに鮮やかなポリゴンが俺の足を舐めるように触って消えた。

 ウォックとトウコを見ると既にノイの魔法射撃圏内に敵を移動させている。

「ノイいける!?」

 尋ねるとサムズアップでノイは応える。既に詠唱は完了していて後は発射するだけのところまで準備は出来ているようだ。

「じゃあ、ぶっぱなしちゃえ!」

「いっきま〜す!!」

 本日2度目になるエレキテルバリスタが発射される。ゆうに目で追える速度は超えており、俺たちによって整列させられたギロチンシザーズが灰になるのを目で確認した頃には既に、クイーンクラブのど真ん中に巨大な穴が開けられていた。

 流石に苦手属性の対処法があるとはいえ、槍の形に具現化されるほど超密度の魔法を打ち消すのは不可能だったようで、嬉しい誤算である。

「おいこれからどぉするんだよ。これだとさっきと同じ結果だぞ!?」

 慌てたようにウォックが叫ぶ。

「そんなこと言われなくても分かってるよ。取り敢えず今は同じパターンで大丈夫。一斉攻撃するよ!」

 この作戦が上手くいけば、もしかしたらあっさりギロチンシザーズを倒せるかもしれない、目の前の難攻不落の城を崩せるかもしれない、そんな期待心を胸にブレイカーショットを放ち皆の攻撃をサポートする。しばらく攻撃しているとイエローゾーン終盤までHPが減っている。そろそろだと思い、装備してある短剣を全て解除。代わりに特殊な弓矢を装備して、弦を力一杯引き明後日の方向へ弓先を向ける。。

「ギュピイイィィィ!!」

 それと同時にクイーンクラブの咆哮。なんとか動く首をの視線が集まる。残念ながら言葉を発することが出来ない、だから言葉の代わりに、口角をニヤリと上げて余裕の笑みを浮かべる。

 さっきと同じようにクラブワーカーが湖からクイーンクラブの贄として現れる。まだ咆哮により身体の自由は戻ってないが、皆が首を動かせたように少しなら動かすことは可能である。矢尻を握っている指を動かすことも、また可能と言える。

 邪魔する者がいないからか捕食までの動きは、それは余裕の一言に尽きる。だがその余裕が命取りになることを奴らはまだ気付いてはいないだろう。

 俺の視界にはスキルであるパーフェクトショットの挙動カーソルが表示されている。スキルのお陰で外れないということは分かっているが、額には大量の汗が滲み出ている。

 まただ。早すぎても遅すぎても駄目。相手が完全に油断しきったその直後でないと多分手に持ってる餌を盾にする。たかが口に運ぶまでの数十秒。恐らく同じ時間なのに体感時間がこれだけ長く感じているのはここにいる中でも俺だけだろう。

 手汗で滑りそうになる指に力を入れ続けていると、とうとうその時がくる。

 放った弓矢は目標から大きく逸れる。だがスキルによって目標へと方向を変化、大きく弧を描く形で矢先が空をい貫く。クイーンクラブに動きがないということは上手く奴の視界から逃れているという何よりの証拠。

 咆哮による拘束は解かれている。だが皆にはあえて動かないよう指示をーー目線でーー送っている。こちらが少しでもさっきと違う動きをしたら相手がどう動くか予想しきれないからだ。

 気付くな気付くな気付くな気付くな。

 張り裂けそうなほど強く脈打つ心臓を抑えつけながらただただ弓矢の軌道を目で追う。そして徐々に目標までの距離が小さくなる。

 3,2,1……ーー。

「0だ」

「ギュッーー!?」

 爆音、黒煙、そしてクイーンクラブの途中で強制的に切られた悲鳴。そのどれもが俺の攻撃が無事に当たったことを証明してくれている。

「ちょ、お前何したんだよ!」

「スキルと、ちょっとしたアイテムをね」

 スキルというのは言わずも知れたパーフェクトショット。アイテムはというと、パーフェクトショットを会得した時に一緒にもらった矢に爆発効果を生むアレである。万が一使う時があるかもしれないと武器屋で改良してもらったのが早速役立ってくれた。

 クイーンクラブが体力を回復するには捕食が必要なことは既に分かっていたし、それを阻止しようにも咆哮をされるとこちらも身動きが取れない。だったらどちらも同時に封じられる攻撃をすればいいと、我ながらよく咄嗟に思い付いたものである。

 これで活路は見えた。クリアまであと一息だ。

「さぁ皆踏ん張り時だよ! リックとウォックはクラブワーカーを、私とノイ、それにトウコはクイーンクラブを叩くよ!」

 全員の声が重なる。これまでにない一体感にテンションメーターがさっきからぶっ壊れているのを自覚しながらも正常に戻そうという気が起こらない。

「ちょ、おいカナコクラブワーカーがぞろぞろと出始めやがったぞ!?」

「カナコさんクイーンクラブが脱皮で口の再生を!」

 えぇい人がテンション上がってるという時になんと面倒な!

「作戦変更! 出来るだけ多くのクラブワーカーをクイーンのところに移動させて! ノイは私と作戦会議!」

 一体どうやって。なんて言葉は飛んでこない。その場の勢いとお互いの信頼さえあればそんなこと言葉という架け橋がなくともなんとでもなる。

「作戦会議って言ったけど作戦はもう決めてあるから指示通り動いてくれ」

「了解であります!」

 手短に伝えることだけ伝え、リック達の助っ人に向かう。

「カナコ、次は何をするつもりなんだ?」

「まぁそれは起こってからのお楽しみってことで、ねっ」

 常に横目でクイーンクラブを確認しつつ皆が少しでも上手く立ち回れるように蹴りで補助をする。

 Mob相手ーーしかも倒すのではなく移動させるだけーーに今更俺達が手こずるわけがなく、1分と経たない内に13匹のクラブワーカーをクイーンクラブの足元に追いやる。

「カナコ咆哮が!」

「大丈夫。ノイ!」

「サンダー!」

 咆哮が放たれる寸前でサンダーが空を裂きながら進む。弱点属性の攻撃が飛んでくることによって、プログラム通りクイーンクラブは粉塵を立て泡を吐く。

 これでは前回と同じではないか。そんな皆の視線を風と一緒に弄ぶ。

「フレア、フレア、フレア!」

 サンダーが地面へ逃げると同時に3発のフレアが泡によって湿っている部分を

貫通する。粉塵のカーテンに隙間がポッカリ空く、小さなクイーンクラブの瞳には弦を引く俺の姿が確かに移り込んでいる。

「存分に味わえよ」

 皆に非難命令すると同時に矢を放つ。

 爆発効果付きの矢だけでは大したダメージは与えられない。そんなことは百も承知である。だけど火元に可燃性の細かな物質が浮遊しているとーー。

「ピギャアァァァァァァ!?」

 巨大な爆発力を生む。

「どわあぁぁ!」

 爆風に巻き込まれたリックが盛大に空を舞う。重戦士のスピードの遅さは残念ながら俺の計算の内には入っていなかった。許せリックよ。

「おいこらお前今度は何やらかしたんだよ!」

 驚きと怒りがごちゃ混ぜになっているウォックが吠える。トウコも遠くから今起こった現象の説明を求めている。ノイは自分で答えを考えようとして頭がショートしている。リックにいたっては飛ばされてそのまま地面に突き刺さっている。実に無様だ。

「あれは粉塵爆発だよ。空気中に小さな可燃物があると少しの着火で大きな爆発を生むの。昔炭鉱なんかでよく起こった現象よ」

「なんでんなこと知ってんだよ」

 ヘブラトク社のゲームをしまく……以下略。

「カァァナァァコォォ!」

 あ、面倒なのが来た。

「てめぇは俺を殺す気か!? だいたいあんなことするなら事前に言っておくってのが社会のルールってもんじゃねぇのか!?」

「ほ、ほら。敵を騙すならまず味方からって言うじゃない」

「限度があるだろ馬鹿野郎ぉぉ!」

 あぁもう、うるさいなぁ今はそれより重要なことがあるだろうに。

 目の前であれだけの爆発を受けたクラブワーカーは細胞の1つすら残っていない、流石ボスとあってクイーンクラブは倒せていないが表面の硬い甲羅は見るも無残なものとなっている。HPは残り数ミリ、脱皮しようにも甲羅がボロボロなのだからしようがない。ここに来て初めて勝利の2文字が希望の光として俺達を照らす。

「まぁまぁリック落ち着いて、お説教なら後でいくらでも聞くからさ、今はあいつを倒そうよ。多分今なら脱皮も咆哮もないかーー」

「よっしゃぁぶっ殺してやる!」

 言うが早いか俺の言葉を遮ってリックはハンマーを肩に担ぎ走り出す。

「カナコ、私も行っていいか?」

「あ、俺も俺も!」

 リックは怒りをぶつけにだけど、この2人の場合相性が悪くて十分に力を発揮出来なくて不完全燃焼なのだろう。その気持ちが痛いほど分かるので即刻OKサインを出す。それと同時に走り出すとすぐにリックに追い付いてしまうがわざとスピードを緩めて並走する。どうやら同時攻撃で仕留めるつもりらしい。

「じゃあわたーー」

「ノイは駄目だ」

「ふうぇっぶ!?」

 なんて声出してるんだよ。

「なんですか! 女の子にラリアットしちゃいけないって学校で習いませんでしたか!?」

 習ってねぇよ。

「ノイもうMP残ってないだろ。MPポーションの無駄だからこれ以上頑張らなくて大丈夫。それに今日のMVPは間違いなくノイだよ」

「ホントですか!?」

 ホントホント、だからそんな近付かないで無駄にリアル感を出してるからかいい匂いするから!

 なんて思うと同時にリックの野太い声が否応なしに耳へ飛び込む。続いてトウコとウォックの声も重なり低音と高音、これ以上ない不協和音のはずなのに攻撃のタイミングはどう見てもドンピシャ、相性がいいのか悪いのかどっちかにしろってんだよ。

 こうやって振り返ってみると最後はなんというか呆気ない幕切れというか、クイーンクラブの断末魔が森の木という木に反響して僅かな余韻を残した後、無事にボス攻略は完了した。



      《Congratulation!》



「いよっしーー」

「なっ、おい!」

 歓喜の雄叫びを上げている途中でウォックの身体が糸を切られた操り人形のごとく力をなくす。慌ててトウコが抱きかかえて地面に倒れるのは防いだ。

「お、おいウォック大丈夫なーー」

「カナメちゃ~ん!」

 トウコの心配の声を振り切ってウォーーいや、今はアリスか。てかなんで俺?

「なんで私の意見無視してウォックに戦わせたの!? このメンツでの初陣で私楽しみにしてたんだよ!? カナメちゃんは私のこと嫌いなの!?」

 あ~何かと思ったら自分じゃなくてウォックが選ばれたことに嫉妬してるのね。というか胸ぐら掴んで頭を前後に揺らすのやめてくれないかな首が痛くなっちゃう!

「いや別に嫌いとかそんなんじゃって、えぇいいい加減手を離しなさい!」

「へぅ!」

 脳天チョップを放ち強引にアリスを引き離す。まったく、ノイといいアリスといいなんでこうも落ち着きがなーーあ、精神年齢が低いからですね納得。

「なんだかとっても失礼なことを言われた気がするんだけど!?」

「さり気なく人の心読むのはやめてね。プライバシー大事」

「ってことはやっぱり失礼なこと思ってたんじゃないのぉ!」

「ま、まぁまぁ2人とも落ち着きたまえ」

 トウコがアリスを羽交い締めにすることでようやく俺は一息つくことを許される。ふぅ、と溜息をこぼすと同時にクイーンクラブが立っていたところに宝箱があるのを発見する。恐らくクイーンクラブがドロップした討伐報酬だろう。

「早速開けてみましょうよ!」

 宝箱というワードに1番食らいついてきたのはノイ。まぁ興奮してしまうのは分からくもないけど毎回毎回いの一番に開けに行ってトラップを全く警戒しないのはどうにかしてもらいたい。多分今回に限ってトラップなんてオチはないだろうがこれはベブラトク社のゲーム、油断大敵だ。

「待てノイ、トラップの可能性があるのだから無闇に開けるのは……」

「あぁ大丈夫、それはトラップじゃねぇよ。れっきとした報酬だから」

 とはリックの言葉。流石情報屋、そこらへんに抜かりはない。

「で、一体何が入っているんだ?」

「いや、それがさ……」

 トウコの言葉に言葉を濁らせるリック。普通ボスのドロップアイテムはハズレが少なく、後々上位互換のアイテムが出現するとしてもその時は使えるというのが一般的だ。

「お、おぉ。これは!」

 ノイがやたらと驚いた声をあげてはいるがリックの言葉が気になってしまい興味は半減といったところだろう。何故かもったいいぶっているノイが少しアホらしく見えてしまうのはしかたのないというものだ。

「じゃじゃ~ん!」

 俺が呆れている間にドロップアイテムは高らかと天に向かって突き出されていた。

「えっと、それって」

 想像していたものと違いすぎてアリスが困惑の声をあげているが、正直俺も同じ気持ちだ。

「はい、見ての通り。カニ味噌です!」

いや~皆様お久し振りです。

すっかりバイトバイトバイトバイトの日々でちまちま書いては消して書いては消してを繰り返してたらこんなに期間が空いてしまってあははは。

あ、はいごめんなさい深く反省してます( ´・ω・`)

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