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マイノリティ青春グラフィティ  作者: 水稀リョウ
第4話
33/35

第4話(3) デートしよ

「…」

「…」

「…ダメだぁ!」ばんっ!


 自室で例の出会い掲示板を前に固まって、小一時間――亜希はノートパソコンのフタを叩き付けるように閉じた。

 

「折角カミングアウトして葉月たちに隠す必要がなくなったのに、吉見に弱みを握られてしまったことが気がかりでとても出会いを探す気になれん…っ!」


 ブオオオオオオ!

「お前のっ! お前のせぇでっ!」

「おい、ドライヤーこっち向けんなっ!」


 その吉見への恨みをありったけドライヤーに載せて本人に食らわせても亜希の気は晴れず――


「あんた何回やったらわかるわけ? 何その頭浮かれとんの?」

「いえ…すみません」《久住先輩、撮られてますよ…》


 また寝坊癖が再発しては久住先輩になじられる日々が続き――

 

 そうして出会いを探せないまま、時間だけが過ぎて行き、

 気が付けば7月の、下旬――


「何しに大阪来たんやろ…」

 出会い探しのつもりがいつの間にかただ学業に勤しんでいただけの亜希は、目標を見失い自室で白目をむいていた。

 大阪に出てきて4ヶ月――とっくにキレイなお姉さんの恋人のいる予定がいつの間にか、簿記を叩き込まれ、研修準備に夢中になり、学業に勤しむだけの清い学校生活を送っていた。


「こんなはずとちゃうかったのに…!」


 …と、そこへ。


 コンコン、ガチャ。

 

「あ、今日は開いとるやん」

 葉月が断り無しに入って来た。


「亜希、日曜ってヒマ?」

「日曜?」

「うん――デートしよ。ふ」

「えっ…デ、デート……?!?!?!」

 

 亜希は降って湧いてきた幸運――いや、女が好きだと打ち明けた自分にあえて『デート』と称した誘いをかけてきた目の前の天使に、顔に喜びが出るのを隠すのも忘れて無邪気に胸をときめかせた。


 ……彼女が口端に浮かべた、その不敵な笑みには気付かずに――

「…ふっ」

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