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マイノリティ青春グラフィティ  作者: 水稀リョウ
第3話
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第3話(6) すげー キレーな子

「ハーイ、正解は◯でした! 以上、情報SEクラスでしたぁ!」


 ステージ上で司会の相下くんがそう告げると、隣のメガネくんが阿吽の呼吸で正解の◯ボードを頭上で振ってみせた。


 研修1日目のステージでのクラス発表会。亜希たち情報SEクラスは無事出し物を終え、パチパチと拍手に包まれる中、ステージ裏へと引っ込んだ。


「緊張したなぁ」


 ステージ裏から見守っていた亜希とアヤカもほっと胸を撫で下ろし、


「お疲れ」

「おう」


 山本くんも、水玉のパーティハットを脱ぐ相下くんやメガネくんらを労った。


 ***

 

 出番を終えた亜希たちは、階段を降りると薄暗い場内をぞろぞろと連なって観覧席へと戻っていった。


「あとは観るだけやなぁ」


 亜希はアヤカと隣同士に腰を下ろすと、ペットボトルのお茶を飲んだ。

 他のクラスの出し物を見て感想をこぼしつつ、気楽に残りの時間をつぶした。

 

「あ、結衣のクラス」

「友達?」

「寮の子」

「へぇ~」


 場内がおしゃべりに埋もれ出し、亜希も退屈に周囲を見回し始めた頃。

 覚えのあるコース名がアナウンスされた。


『さぁ、続いては情報マネジメントコースです!』


「あ」


 葉月のコース名が呼ばれ、亜希はステージに顔を向けた。

 

「え?」

 アヤカは亜希の声に一度亜希を見ると、自分もステージに目を向けた。


 場内のおしゃべりが一瞬収まって、再びアナウンスされる。


『演目はバンド演奏です――』



《バンド……》


 予想外の演目に、亜希は背筋を伸ばしてステージに注目した。

 

 暗転していたステージにスポットライトが落ち、バンドのシルエットが浮かび上がる。

 始動を待って首を伸ばす観衆――ライトが切り替わり、中心でスタンドマイクに手を添えているボーカルが照らし出されると、場内が一気に色めき立った。


「誰アレ?!」

「うわめっちゃかわいい!」

「脚なげー」


 曲が始まり、彼女が動き出す。観衆は瞬く間に熱気に包まれた。


《口パク……なんかな?》


 場内には、彼女の少しだけ高く澄んだ声とはちがう声が流れていた。

 そのちがいに誰も気づかず、ざわめく観衆。

 亜希は彼らに目をやりながら、向こう側にいる葉月に視線を戻した。

 

 ワーッ…


「わーキレイな子やなぁ」

「……」

 隣のアヤカが葉月に見惚れながら口にする横で、亜希は静かにライトの下の彼女を見つめた。




「すげー キレーな子」


 彼女を見つめる亜希の遠くで、クラスの誰かの声が聞こえた。

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