第2話(6) 結衣の部屋にて。聞いてないけど?
コンコン、307号室のドアをノックすると、中から明るい声がした。
「はーい、どうぞ。開いとるよー」
その声に安心してガチャ…とドアを開ける亜希。
中を見ると、机の椅子に座っていた結衣が、椅子をくるりと回して、身体をこちらへ向けて歓迎してくれた。
「どうぞー」
「お邪魔します…」
遠慮がちに中へおじゃまする。と、亜希は部屋を見てはは、と笑った。
よく整理整頓された部屋に、ぬいぐるみやかわいい小物、化粧道具など、自分の部屋には無いものがたくさん置かれていた。
同性の友人(女の子)の部屋には慣れていたものの、あまりにも女の子らしい結衣の部屋に、少しだけ恥ずかしいような居心地の悪さを感じて頬をかく。
と、照れてふと窓に目を向けた時、亜希は目に付いたものに驚いた。
《はは、イメージまんま。女の子っぽい……って、えっ?!》
カーテンレールにピンチハンガーで洗濯物が干されている。
だがその外側は、中の下着を隠すように、ぐるっとタオルで囲われていた。
《ま、まじか。下着を室内干し、しかもタオルで隠しとる…!》
何も気にせずそのまま下着を外干しにしている亜希は、結衣のその気遣いの細やかさに驚いた。
「ちょっと、あんま洗濯物見んでよー」
「えあっ?! ご、ごめん」
***
22時過ぎ。亜希はようやくその日の復習を終えた。
「ごめんね、遅くまで付き合ってもらって」
「全然、今日はそんなやること無かったし」
勉強が終わった亜希は、結衣に椅子を返した。
結衣は1つしかない椅子を亜希に譲り、自分は立ったまま勉強を見てくれていたのだった。亜希は結衣を2時間近くも立たせてしまっていたことを反省した。
「でもこんな感じやったら、平日はあんま掲示板見る余裕無さそうやなぁ」
「掲示板?」
「えあっ?! あは、こ、こっちの話…」
うっかり出会い掲示板のことを口にしそうになり慌てる亜希に、結衣は思い出したように訊いた。
「でもさ、お風呂行かんでいいん? 私はもう行ったけど」
「お風呂?」
亜希は首を傾げた。
「寝る前にシャワー行くけど」
「そうなんや、でもさ。今日は月曜やから、24時間OKのシャワー室はメンテナンスで使えんよ?」
「えっ!」
「月曜はシャワー室使えんし、大浴場も22時半で閉まるで。…もう、ちゃんとルールのプリント、読んだ?」
「ええっ?!」《よっ、読んどらんっ!》
結衣に言われてプリントを見せてもらうと、めちゃめちゃ小さい※印でメンテナンスについての注意事項が書かれてあった。




