「冬の読書会」
1 静かな午後
冬の午後、外はどんよりとした曇り空だった。
雪は降っていないものの、風が強くて外に出るには少し寒すぎる。
「今日はお散歩はお休みだね」
美咲がカーテンを閉めながら言った。
女の子は少し残念そうにうつむいたが、すぐに顔を上げて提案した。
「じゃあ、おうちで遊ぼう! みんなで本読もうよ!」
ベルはすぐに尻尾を振って賛成。
チャイは「本って食べられるの?」という顔をし、モカは呆れつつも「違うでしょ」と突っ込んだ。
リクは静かに横たわり、すでに聞く姿勢になっている。
ユキは棚の上から興味深そうに見下ろしていた。
2 本を選ぶ
女の子は自分のリュックから絵本を数冊取り出した。
「動物の冒険の本にしようかな。それともお星さまのお話?」
ベルは「冒険がいい!」と言わんばかりに吠え、チャイも大賛成。
モカは「星のお話も素敵だけど……まぁ、冒険も悪くないわね」と折れる。
リクはどちらでも構わないという風に目を細め、ユキは静かにしっぽを揺らしていた。
結局、冒険の絵本に決まり、女の子が大きな声で読み始めた。
3 冒険の世界へ
本の中の主人公は小さな動物たち。
森を抜け、山を越えて、仲間とともに旅をする物語だ。
ベルは耳を立てて物語に夢中になり、チャイは時折「わぁ!」と声を上げて本に鼻を近づける。
モカは「静かに聞きなさいよ」と小声で注意しつつも、自分もじっとページを見つめている。
リクは語りを聞きながら、どこか遠い記憶を思い出すように目を閉じ、
ユキは高い場所から全体を眺めながら、物語の世界に浸っていた。
4 物語の山場
物語が山を越える場面に差し掛かると、女の子の声も高揚した。
「動物たちは力を合わせて、吹雪の中を進みました!」
ベルは思わず吠え、チャイは布団の上を駆け回る。
モカは「ほんとに吹雪みたいじゃない!」と苦笑しつつ、体を寄せて暖を取った。
リクは鼻先をほんの少し動かし、まるで旅を続ける仲間を見守っているよう。
ユキは静かに瞬きをし、物語に登場する雪山を心の中に描いていた。
5 物語の結末
やがて仲間たちは目的の場所にたどり着き、物語は穏やかに幕を閉じた。
「めでたし、めでたし!」
女の子が読み終えると、ベルは嬉しそうに吠え、チャイは「もう一回!」と催促した。
モカは「今日はここまで!」と断固拒否し、ベルとチャイをなだめる。
リクは満足そうに目を閉じ、ユキは棚の上からゆっくり伸びをした。
6 みんなで感想会
「みんなで力を合わせるのって大事だね」
女の子が言うと、ベルは大きく頷き、チャイも尻尾をぶんぶん振る。
モカは「まぁ、そうね。私だってチャイがいなかったら退屈だし」と素直じゃない感想を漏らした。
リクは女の子に鼻先を寄せ、同意を示す。
ユキはただ静かに目を細め、それが彼なりの感想だった。
7 夜のひととき
外の風は相変わらず冷たかったが、病院の中は本の余韻で温かかった。
ベルは女の子に寄り添い、チャイとモカは毛布の上で仲良く眠った。
リクはストーブの前で横になり、ユキは窓辺から星の光をちらりと眺めていた。
冬の夜に開かれた小さな読書会は、動物たちの心をひとつにした。
物語の冒険と同じように、ここでも仲間たちの絆が深まっていた。




