「収穫後の田んぼで」
秋晴れの午後
診察がひと段落した午後、美咲が声をかけてきた。
「先生、近くの田んぼが収穫を終えたみたいです。動物たちを連れて行きませんか?」
稲刈りを終えた田んぼは、黄金色から淡い茶色に変わり、稲株が整然と並んでいる。
刈り残されたわずかな穂にはスズメが群がり、チュンチュンとにぎやかに鳴いていた。
動物たちのはしゃぎ
ベルは女の子と一緒に田んぼのあぜ道を駆け回る。
風が吹くたびに落ち葉が舞い、それを追いかけてはしゃいだ。
リクはあぜ道に腰を下ろし、穏やかにスズメの群れを見つめている。
チャイは虫の羽音に飛びつこうとしてモカに止められた。
モカは「まったく落ち着きがないわね」という顔をしていたが、
尻尾は小さく揺れていた。
ユキは田んぼの端で、草むらに隠れるバッタをじっと観察していた。
小さな騒動
スズメの群れが一斉に飛び立つと、ベルが思わず吠えて追いかける。
女の子が必死でリードを引き止め、なんとか転ばずに済んだ。
チャイも「自分も行く!」と大騒ぎし、モカに押さえ込まれる。
その様子を見て、リクは鼻を鳴らし、ユキは冷静に毛づくろいを始めた。
田んぼの空気
稲刈りを終えた田んぼは、どこか寂しくもあり、清々しくもあった。
美咲が「季節の移ろいって早いですね」とつぶやく。
女の子は「でも、また春になったら田植えして、夏になったら緑のじゅうたんになるんだよね」と笑った。
ベルがその言葉に尻尾を振り、リクも満足そうに目を細めた。
帰り道
帰り道、秋の風が頬をなでていく。
ベルは落ち葉を踏みながら駆け、チャイとモカはじゃれ合う。
リクは堂々と前を歩き、ユキはマイペースに後ろからついてきた。
収穫を終えた田んぼの風景は、どこか病院の毎日にも似ている気がした。
たくさんの出来事を経て、今は静かに実りを味わう季節。




