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動物病院日誌   作者: 匿名希望


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「新緑の散歩道」

朝 集合の庭


初夏を思わせるような陽気のある日曜日。

病院の庭には、リードを付けた犬たちや、小さなキャリーに入った動物たちが集まっていた。

今日は病院主催の「新緑の散歩会」。


「天気に恵まれましたね」

美咲が空を見上げて言う。

青空には雲ひとつなく、柔らかな風が木々を揺らしていた。


ベルと女の子は元気いっぱいに走り回り、リクは落ち着いて待機。

チャイとモカは相変わらず賑やかで、ユキは白い毛を光に透かして静かに座っていた。


出発 並んで歩く


「それじゃあ、出発しましょう」

私の声を合図に、散歩の列が歩き出す。


舗道から少し外れた川沿いの道は、新緑のトンネルのように木々が茂り、鳥の声が響いていた。

ベルは女の子に引かれながら元気に駆け、リクはゆったりとした足取りで進む。

チャイはあちこちに気を取られて立ち止まり、モカが呆れ顔でついていく。

ユキは静かに列の後ろを歩き、風に揺れる草の匂いを感じているようだった。


道すがらの交流


道の途中で休憩をとると、飼い主たちの会話が自然に始まった。

「ベルちゃんは本当に元気ね」

「リクくんは落ち着いててうらやましい」

「チャイは相変わらずで……」と笑う声に、みんなが和んだ。


子どもたちは虫を見つけては歓声を上げ、犬たちは草むらを探索していた。

ユキは少し離れた場所で、川を見つめている。

「ユキちゃんは、景色を味わってるみたいですね」

美咲が微笑んだ。


川辺の広場


目的地の広場に着くと、川のせせらぎと鳥の声が響いていた。

レジャーシートを広げ、お弁当やおやつを分け合う。


ベルは女の子と一緒に走り回り、リクは木陰で気持ちよさそうに伏せていた。

チャイはおやつを狙ってモカに止められ、笑いが絶えなかった。

ユキは草の上に静かに座り、目を閉じて風を感じている。


自然の中で過ごす時間は、まるで病院での日常とは違う特別なひとときだった。


帰り道


午後になり、帰り道は少し眠たげな空気が漂う。

ベルはまだ元気だが、女の子は「ちょっと疲れた」と言いながら笑っている。

リクは一定の歩調を崩さず、チャイはようやく落ち着き、モカが満足そうだった。

ユキは夕陽に照らされ、白い毛が金色に輝いていた。


「またみんなで歩きたいね」

誰かの言葉に、全員が笑顔でうなずいた。


夜 余韻の中で


病院に戻って解散したあと、美咲が言った。

「動物たちって、自然の中だといつも以上に生き生きしますね」


私は頷いた。

病院の診察室だけでなく、こうして一緒に歩くことで見える表情がある。

今日の散歩会は、そんな新しい一面を知ることができた時間だった。

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