「冬休みのにぎやか診療日」
朝 冬休みらしい光景
一月四日。
通りにはまだ門松やしめ飾りが残り、町全体がゆっくりとお正月気分を引きずっている。
病院の前を小学生くらいの子どもたちが駆け抜け、声を弾ませていた。
「先生、今日は子どもさん連れが多そうですね」
美咲が予感するように笑った。
午前 ベルと兄妹の笑顔
最初に来たのはベルと女の子、それにお兄ちゃんも一緒だった。
「冬休みだから今日は兄妹でお散歩係なんです!」
女の子が得意げに言う。
ベルは診察台に上がると、しっぽを振って兄妹を交互に見上げた。
お兄ちゃんは「ちゃんと元気か確認しような」と真剣な顔をし、女の子は「ベルは元気だよ!」と笑顔を返す。
その様子に待合室の大人たちも目を細めていた。
午前後半 リクと絵日記の話
次にやってきたのはリクと加藤さん、そして加藤さんのお孫さん。
「冬休みの絵日記にリクのことを書こうと思ってね」
孫娘はノートを抱えていた。
「元旦に一緒に寝ちゃったリク」
「甘酒の匂いをかいで不思議そうなリク」
診察の合間にそんなメモを覗かせてくれ、リクは診察台でこてんと寝転んで見せた。
まるで「その通りだよ」と言っているかのようだった。
昼 チャイとモカと子どもたちの歓声
昼頃にはチャイとモカが来院。
冬休み中のいとこたちも一緒にやってきて、待合室は一気に賑やかになった。
「チャイ、こっちおいで!」
「モカちゃん、ふわふわ~!」
チャイは子どもたちの声に応えて跳ね回り、モカは少し恥ずかしそうにキャリーの中で丸くなる。
「無理しなくていいんだよ」と声をかけると、モカはちらりと子どもたちを見て、しっぽを小さく揺らした。
午後 ユキと雪遊びの話
午後にやってきたユキの飼い主さんは、小学生の息子を連れていた。
「元旦の日にちょっと雪が降ったでしょ。そのときユキと一緒に庭で遊んだんです」
息子さんは写真を見せてくれた。
雪の上に白い毛が映え、まるで溶け込むようなユキの姿。
その横で雪だるまを作る小さな手が、寒さを忘れたように生き生きとしていた。
待合室の子どもたちが集まり、「いいなあ」と声をあげる。
夕方 待合室の小さなお祭り
夕方になると、待合室には自然と子どもたちが集まり、飼い主たちが笑顔で見守る光景が広がった。
「ベルちゃんは走るの早いね!」
「リクくんはよく寝るんだね」
「ユキちゃん雪と同じ色!」
動物たちもそれぞれの性格を出しながら、子どもたちに寄り添ったり、少し距離をとったり。
その一つ一つが、子どもたちにとって冬休みの大切な思い出になっていくのだろう。
夜 静けさの中で
診療が終わり、病院の明かりを落とすと、昼間の賑やかさが夢のように感じられた。
「今日はまるでお祭りみたいでしたね」
美咲が笑う。
「動物も子どもも元気なのが一番だな」
窓の外には、冬の夜空に星が瞬いていた。
静けさの中に、今日の笑い声がまだ余韻のように残っている気がした。




