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動物病院日誌   作者: じょんどぅ


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雨に煙る鴨川べりと、痒そうに傾げた小さなお耳、あるいは梅雨の湿気が生み出す耳鳴りの罠

雨に煙る鴨川べりと、痒そうに傾げた小さなお耳、あるいは梅雨の湿気が生み出す耳鳴りの罠


### 1. 湿気に包まれた朝と、しきりに首を振る愛犬


六月中旬。京都の街にまとわりつくような重い湿気が立ち込め、鴨川の水面にも絶え間なく雨の波紋が広がる、本格的な梅雨真っただ中の午前。

今日の診察室にやってきたのは、垂れ耳がチャームポイントの4歳のミニチュア・ダックスフンド「モモ」ちゃん(女の子)と、少し心配そうな表情の飼い主の松本さんです。


「先生、ここ数日ずっと雨で空気がすごくジメジメしているんですが、今朝からモモがしきりに頭をブルブルと振って、右のお耳を後ろ足で激しくボリボリ掻いているんです! お耳の近くをそっと覗いてみたら、中がなんだか赤くただれていて、少しツンとする嫌な臭いと茶色っぽい汚れがジワッと溜まっているんです……」


診察台の上で、モモちゃんはお耳の検査用のスコープを向けられると、痛痒そうにクンと小さく鳴いて首を傾げました。内部を覗くと、梅雨の湿気と高い気温によって湿度を増した耳道の中で細菌や酵母菌(マラセチア)が爆発的に繁殖し、赤く腫れ上がった典型的な「急性外耳炎」のサインが見られました。


「松本さん、すぐにお連れいただき正解です。これは『梅雨時の強烈な高湿度と通気性の悪さが引き起こす、耳道内の急性感染・外耳炎トラブル』ですね。『お散歩の時間が短いから大丈夫』と思われがちですが、日本の梅雨のジメジメした空気は、特に垂れ耳のワンちゃんたちのお耳の中をあっという間にサウナのような温床に変えてしまうんです」


### 2. なぜ「梅雨時の湿気と垂れ耳構造」はペットの体を脅かすのか


多くの飼い主さんは「お部屋の中はエアコンが効いているから耳が蒸れるなんてないはず」と考えがちですが、梅雨時の環境にはペットのデリケートな耳を守るバリアを容赦なく打ち砕く厳しいメカニズムが隠れています。


* **「垂れ耳構造(耳蓋が蓋をする形)」による抜群の密閉性と湿気:** ビーグルやダックス、プードルなどの垂れ耳ちゃんは、耳の穴がフタで覆われているため空気がほとんど通りません。梅雨の湿気が中に閉じ込められると、一瞬で水分と熱がこもる最悪の環境になります。

* **「カビや細菌(マラセチア・ブドウ球菌)」の爆発的な繁殖:** ジメジメした湿気と皮脂を大好物とする真菌や細菌にとって、梅雨時のお耳の中は天国のような増殖スポットであり、数日で激しい痒みと臭いを引き起こします。

* **「間違った綿棒のお掃除(グリグリ掃除)」による二次的な悪化:** 愛犬が痒がる姿を見て、飼い主さんが人間用の綿棒で耳の奥までゴリゴリと汚れを押し込んでしまうことで、デリケートな耳道の粘膜を傷つけ、さらに炎症を悪化させてしまいます。


### 3. 愛犬を梅雨の耳トラブルから守る「3つのレイニー・イヤーケア術」


「モモにあんなにつらい思いをさせてしまっていたなんて……。『お耳の掃除はたまにでいいか』と油断して、湿気対策を全然考えてあげていなかった自分が本当に情けないです」と深く反省する松本さんに、僕は安全にお耳を守るためのポイントをお伝えしました。


1. **お耳のお掃除は「動物病院専用のイヤークリーナーでの優しく洗浄」を徹底:** ゴリゴリと綿棒で奥を突くのではなく、動物病院で処方される専用の液体クリーナーを耳道に優しく満たし、根本をクチュクチュと揉んで汚れを浮き上がらせてからコットンで拭き取りましょう。

2. **お部屋の「除湿機とエアコンを活用した徹底した湿度コントロール」:** 梅雨の時期はペットの過ごすお部屋の湿度を常に50%台にキープし、お耳の中の自然乾燥を助ける快適な空間を維持しましょう。

3. **シャンプーや雨上がりあとの「お耳の裏のドライヤー(冷風)での完全乾燥」:** 雨でお散歩が濡れて帰ってきたときやシャンプーのあとは、お耳のまわりの被毛や耳介をドライヤーの「冷風」でしっかりと乾かし、湿気を残さない習慣をつけましょう。


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### 4. 蘇る爽やかな笑顔と、安心のぬくもり


モモちゃんのお耳には、繁殖していた原因に合わせた適切な抗炎症・抗菌成分の入った点耳薬の処方と、病院での安全な耳道洗浄を行いました。お家での正しい拭き取りケアとお部屋の除湿を続けた結果、お耳の赤みや不快な臭いはすっかり消え、モモちゃんはいつものゴキゲンな笑顔をとり戻しました。


「先生に正しいお耳の拭き方を教えていただいてお部屋を除湿するようにしたら、モモがお耳を掻かなくなって、すっかり気持ちよさそうに眠るようになりました! これからは梅雨のお耳ケアもバッチリ頑張ります!」

松本さんは心からの安心した笑顔で、モモちゃんを優しく抱きしめました。


### 5. 梅雨の京都に灯る診察室の明かり


窓の外では、京都の街をしっとりと包み込む雨粒が静かに降り続き、家々の窓から漏れるオレンジ色の温かな明かりがすべての生き物たちの息吹を優しく包み込んでいました。

"先生、お疲れ様です。梅雨のジメジメした空気って人間にとっても肌にまとわりついて嫌だけど、ワンちゃんたちのお耳の中ではあんなに怖い雑菌のサウナが広がっていたんですね"

看護師の河野が、イヤークリーナーのボトルや点耳薬のカルテを丁寧に棚に片付けながら温かな笑顔でつぶやいた。


"本当にそうだね。雨に煙る梅雨の景色の裏側には、こうした高い湿度がもたらす見えないお耳の試練がそっと隠されている。だからこそ、私たちがしっかりと正しい洗浄と除湿の工夫を取り入れ、愛情深く彼らのデリケートなお耳を守り抜くこと。それが、この梅雨の季節を心から安全に楽しむための最高のエールなんだよね"


窓の向こうの雨に煙る空の下、温かな家々の窓から漏れるオレンジ色の明かりが、静かな夜の道を優しく照らし出していました。

雨に煙る鴨川べりと、痒そうに傾げた小さなお耳が伝える梅雨の湿気の罠の中に。

確かな優しいイヤークリーナーと、愛を込めた毎日の快適ドライケアを。

どんなに季節が巡り、たくさんの雨が私たちの街をしっとりと包み込んでいこうとも、大大家族みんなが笑顔で、いつまでも健やかに心拍を弾ませながら温かな明日へ歩んでいけるように。

僕たちの動物病院の明かりは、今夜もすべての家族のコラボレーションと「安全な笑顔・健やかな日常」を、梅雨の優しい雨音と共に守り続けます。

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