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動物病院日誌   作者: じょんどぅ


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秋めく野山の小道と、絡みつく草の実、あるいは実りの季節に潜む小さなトゲの罠

秋めく野山の小道と、絡みつく草の実、あるいは実りの季節に潜む小さなトゲの罠


### 1. 爽やかな秋晴れの小道と、しきりに気にするお耳


九月中旬。京都の街の街路樹や歴史ある神社の境内が少しずつ秋の気配を帯び、心地よい風に吹かれながらのお散歩が一番楽しい季節を迎えた午後。

今日の午前、診察室にやってきたのは、好奇心旺盛で元気いっぱいの2歳のトイ・プードル「モカ」君(男の子)と、少し心配そうな表情の飼い主の石川さんです。


「先生、今日のお昼に近くの公園の少し奥にある遊歩道をモカとお散歩してきたんですが、帰ってきたら急にしきりに頭をブンブンと振って、右耳や足の裏を前足で激しく引っかいていて……! 見てみたら、耳のなかにチクチクとした草の実がいっぱい入り込んでいて、皮膚も赤くただれているんです!」


診察台の上で、モカ君は耳を触られるのを嫌がってクンクンと小さく鳴き、痛がゆそうに体を丸めています。耳鏡を覗くと、秋の野山や草むらに多く見られる鋭い「草の実(俗に言う『引っっつき虫』や植物の種子)」が外耳道の奥深くまで入り込み、粘膜を傷つけて激しい炎症を起こしているサインが見られました。


「石川さん、すぐにお連れいただき正解です。これは『秋の実りとともに草むらに潜む、植物の種子(シーズ・ピック)や危険な害虫による皮膚・外耳炎トラブル』ですね。過ごしやすくなった秋の野山はワンちゃんたちにとって最高の楽園ですが、その足元や植物の裏側には、ペットたちのデリケートな体を容赦なく刺す小さなトゲや寄生虫の罠が隠されているんです」


### 2. なぜ「秋の草むらや野山」はペットの体を脅かすのか


多くの飼い主さんは「秋晴れの気持ちいいお散歩だからどこを歩いても安心だろう」と考えがちですが、実りの季節を迎えた自然環境には厳しいリスクが潜んでいます。


* **「草の実(シーズ・ピック)」の皮膚・耳道への侵入:** 秋に実をつける植物の種子は、動物の被毛や皮膚に引っかかりやすい構造をしています。これが耳の穴に入り込んで鼓膜を傷つけたり、足の指の間や皮膚の奥に刺さって激しい化膿を引き起こす事故がこの季節に急増します。

* **「秋の野山や藪」に潜むマダニ・害虫の隠れた猛威:** 夏ほど暑くはないものの、秋口の草むらにはまだ多くのマダニやサシガメなどの虫が活動しており、被毛の隙間を縫って吸血や皮膚炎を引き起こします。

* **「落ち葉の山」に隠れた危険な異物:** 神社や公園の小道に美しく積もった落ち葉の絨毯の下には、隠れたガラス片、尖った小枝、あるいは腐敗した植物などが潜んでおり、元気よく駆け回るワンちゃんの肉球や皮膚を深く傷つけてしまうことがあります。


### 3. 愛犬を秋の自然から守る「3つのオータムディフェンス」


「モカがあんなにたくさんの草の実に苦しめられていたなんて……。『秋のお散歩は安全で気持ちがいい』と油断して、草むらの近くを自由に歩かせてしまった私が本当に反省しています」と深く反省する石川さんに、僕は秋の自然から身を守るためのポイントをお伝えしました。


1. **お散歩コースは「草木の生い茂る藪や未舗装の奥」を避ける:** 公園や河川敷を歩くときは、背の高い草が生い茂る場所や、たくさんの種をつつけた植物の群生地には愛犬を近づけず、きれいに整備された中央の遊歩道を歩きましょう。

2. **お出かけ時の「お洋服(ドッグウェア)の着用」による物理ガード:** 全身をすっぽり包む薄手のお洋服を着せることで、被毛への草の実の付着や、藪の中のトゲ・虫たちからデリケートな皮膚を直接ガードすることができます。

3. **お散歩終わりの「全身ブラッシングと細部(耳・足裏)チェック」:** お家に入る前に、専用のブラシやコームで被毛全体を優しくとかし、耳のなか、足の指の間、脇の下に草の実や異物が挟まっていない入念に確認してあげましょう。


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### 4. 蘇る笑顔と、安心のぬくもり


モカ君の耳の奥に入り込んでいた草の実は、専用の器具を使って安全に優しく取り除き、傷ついた外耳道を鎮めるための抗炎症イヤードロップ(点耳薬)の処方を行いました。数日間、ご自宅での丁寧な耳のケアとブラッシングを続けると、耳の赤みや痒みはすっかり引き、モカ君はいつもの可愛い笑顔と元気な足取りをとり戻しました。


「先生、迅速に草のいを取り除いてお薬を処方していただいたおかげで、モカが頭を振るのもすっかりなくなって、とっても気持ちよさそうに眠れるようになりました! これからはお散歩の服装と帰りのチェックを徹底します!」

石川さんは心からの安心した笑顔で、モカ君を優しく抱きしめました。


### 5. 初秋の京都に灯る診察室の明かり


窓の外では、京都の街に初秋の美しい夕暮れが訪れ、色づき始めた木々のシルエットが穏やかな風に揺られながらすべての生き物たちの息吹を優しく包み込んでいました。

「先生、お疲れ様です。秋の野山って本当に空気が澄んでいて気持ちがいいけれど、あの美しい草むらの裏側には、こんなにもチクチクした種や小さな罠が隠されていたんですね」

看護師の河野が、耳鏡や専用のピンセットを丁寧にトレイに片付けながら引き締まった表情でつぶやいた。


"本当にそうだね。季節がゆっくりと秋に移り変わる景色の裏側には、植物たちが命をつなぐための見えない仕組みと試練がそっと隠されている。だからこそ、私たちがしっかりと安全なお散歩ルートを選び、お散歩あとの丁寧なブラッシングとチェックで彼らのピュアな体を守り抜くこと。それが、この実りの季節を心から安全に楽しむための最高のエールなんだよね"


窓の向こうの秋空の下、温かな家々の窓から漏れるオレンジ色の明かりが、静かな夜の道を優しく照らし出していました。

秋めく野山の小道と、絡みつく草の実が伝える小さなトゲの罠の中に。

確かなお洋服のガードと、愛を込めた毎日の優しいブラッシングケアを。

どんなに季節が巡り、たくさんの自然の恵みや美しい景色が足元に広がっていこうとも、大好きな家族みんなが笑顔で、いつまでも健やかに心拍を弾ませながら温かな明日へ歩んでいけるように。

僕たちの動物病院の明かりは、今夜もすべての家族のコラボレーションと「安全な笑顔・健やかな日常」を、初秋の夜風と共に守り続けます。

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