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動物病院日誌   作者: 匿名希望


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「年の瀬のごあいさつ」

最後の診療日


十二月三十日。

病院のカレンダーには赤い丸印がついていた。

今日は今年最後の診療日。


「先生、やっぱり年末はいつもより気持ちが引き締まりますね」

朝の掃除を終えた美咲が言う。


「そうだな。最後まで気を抜かず、今年一年を締めくくろう」


待合室のツリーにはまだ電飾が灯っている。

ほんの数日前までは賑やかなクリスマスだったが、今日はどこか落ち着いた雰囲気だ。


午前 ベルと女の子


最初にやってきたのはベルと女の子。

「先生! 今年もいっぱいお世話になりました!」

元気な声が病院に響いた。


診察台に乗ったベルは、しっぽを大きく振っている。

今年は元気に過ごせたようで、体調も問題なし。


「また来年も元気に遊びに来るんだぞ」

そう言うと、女の子は「来年はもっとベルと雪遊びします!」と笑った。


美咲が「いい一年になりそうですね」と微笑む。


午前後半 リクと加藤さん


次にやってきたのはリクと加藤さん。

「今年も何度も駆け込んじゃいましたね」

加藤さんは少し照れ笑いを浮かべた。


診察台の上でリクは落ち着きなく前足を動かしている。

だが心音も呼吸も問題なく、元気そのものだ。


「リクは来年も走り回るだろうな」

そう伝えると、加藤さんはホッとした表情になった。


「先生、美咲さん、よいお年を」

帰り際に深々と頭を下げる姿に、こちらも自然と背筋が伸びた。


昼 チャイとモカ、ご夫婦と共に


昼頃、ご夫婦と共にチャイとモカがやってきた。

キャリーから出すと、二匹はツリーの下に並んで座った。


「今年も本当にお世話になりました」

ご夫婦がそろって言う。


チャイはツリーのオーナメントをつつき、モカは静かに丸くなる。

その姿を見ながら、ご夫婦と今年の出来事を振り返った。


「来年も、二匹が仲良く元気で過ごせるようにお願いしますね」

その願いに、私はしっかりと頷いた。


午後 ユキと雪の空気


午後にやってきたユキは、窓際に座って外を見つめていた。

年末の冷たい風が木々を揺らし、空には雪雲が広がっている。


「ユキも一年、元気で過ごせました」

飼い主さんが穏やかに話す。


白い毛並みに光が差し込み、その姿はどこか清らかで、年の瀬にふさわしい厳かな雰囲気を漂わせていた。


「また来年も、よろしくお願いします」

深く頭を下げる飼い主さんに、私は心から「こちらこそ」と返した。


夕方 待合室の会話


夕方になると、待合室にはおなじみの飼い主たちがそろった。

「来年は旅行に挑戦したいの」

「うちはもう少し運動させないと」

「ベルちゃん、また遊ぼうね!」


犬や猫たちも、それぞれの居場所でしっぽを振ったり、丸くなったり。

まるで病院が「小さな家族の集まり」のように温かい空気に包まれた。


「こうして一年を締めくくれるのは、ありがたいことですね」

美咲が小さくつぶやく。


夜 締めくくりの言葉


最後の患者を送り出し、病院の灯りを落とす。

ツリーの電飾だけが、静かに瞬いていた。


「先生、来年も動物たちと一緒に、こうして年を越したいですね」

美咲が言う。


「もちろん。来年も、たくさんの物語が待ってるだろうな」


外は静かに雪が降り始めていた。

今年一年を締めくくるのにふさわしい、静かな夜だった。

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