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動物病院日誌   作者: 匿名希望


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「落ち葉のじゅうたん」

落ち葉の朝


11月に入り、街路樹の葉が一気に散り始めた。

病院へ向かう道も赤や黄色の落ち葉が積もり、靴の下でカサカサと音を立てる。


「先生、おはようございます」

美咲が掃き掃除をしていた。病院の前にもたくさんの葉が積もっている。


「今日は一日中、掃いても追いつかなさそうですね」

「でもきれいですよ。まるで絨毯みたいです」


たしかに。落ち葉は片付けるには手間だが、見ているだけで季節を感じさせてくれる。


午前 ベルと落ち葉のリボン


午前中に来たのはベルと女の子。

ベルの首には、落ち葉で作った小さなリボンが結ばれていた。


「公園で拾った葉っぱで作ったんです」

女の子は嬉しそうに言った。


赤いモミジの葉を重ねてリボンの形にしてあり、ベルが歩くとひらひら揺れる。

「おしゃれだな。秋限定のアクセサリーだ」

私が言うと、女の子は顔を輝かせた。


診察台の上でもベルは胸を張って、まるでモデル犬のようにポーズをとっていた。


午前後半 リクと落ち葉の山


続いてやってきたリク。

加藤さんは少し困った顔をしていた。


「公園の落ち葉の山に飛び込んでしまって……体中に葉っぱが」


確かに、リクの毛には赤や黄色の葉がいっぱい絡まっている。

診察室で軽くブラッシングすると、床にぱらぱらと落ち葉の雨が降った。


「秋の思い出を連れてきたんだな」

私がそう言うと、美咲も「診察室まで秋ですね」と笑った。


待合室に戻ったリクは、落ち葉が取れてすっきりした顔をしていた。


昼 チャイとモカの落ち葉おもちゃ


昼頃、ご夫婦と一緒に来院したチャイとモカ。

ご夫婦の手には紙袋があり、中には大きなイチョウの葉がたくさん入っていた。


「公園で拾ったら、二匹が気に入ってしまって」


待合室で袋を開けると、チャイもモカも前足で葉っぱをちょいちょい。

風に吹かれて舞うように葉を転がすと、二匹は夢中で追いかけた。


「猫にとっても落ち葉はいいおもちゃなんですね」

ご夫婦が笑う。


その様子を見ていた子どもたちも「やってみたい!」と声を上げ、待合室はちょっとした公園のようなにぎやかさになった。


午後 ユキと落ち葉の静けさ


午後に来たユキは、落ち葉を踏んだせいか足元が少し冷たそうだった。

飼い主さんが「ユキは落ち葉のカサカサ音が好きみたいです」と言う。


診察を終えると、ユキは窓際に座り、外の落ち葉をじっと見つめた。

風に吹かれて舞う葉を追いかけるように、目だけがゆっくり動く。


その姿はとても穏やかで、待合室に静かな空気を運んできた。


「ユキちゃんは秋を味わってるんですね」

美咲がつぶやき、飼い主さんは微笑んだ。


夕方 病院の落ち葉アート


夕方、診療が落ち着いた。

机の上には、ベルの落ち葉リボン、リクから取れた葉、チャイとモカが遊んだイチョウ、そしてユキが眺めたモミジ。


「せっかくだから並べてみませんか?」

美咲の提案で、テーブルに葉っぱを並べ、即席の「落ち葉アート」を作った。


赤、黄、茶。大小さまざまな葉っぱが組み合わさり、まるで秋の絵画のよう。

待合室に残っていた飼い主さんたちも「きれいですね」と見入っていた。


夜 落ち葉の余韻


診療が終わり、外に出ると、風に乗って落ち葉がひらひらと舞っていた。

オレンジ色の街灯に照らされて、葉はまるで小さな灯りのように輝く。


「今日は動物たちが、落ち葉を運んでくれたみたいだな」

私はそうつぶやき、冷たい風を吸い込んだ。


秋の深まりを知らせる落ち葉は、ただ片付けるものではなく、笑顔を連れてきてくれる小さな贈り物だった。

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