第140話「たけのこほり」
春の陽気に誘われて、女の子と先生は病院の裏山へと出かけた。今日の目的は「たけのこ堀り」。毎年この時期になると、竹林のあちこちから顔を出すのだ。
「わぁ〜!あそこにでてる!」
女の子が指さした先、土からちょこんと頭を出している茶色のたけのこが見えた。
わんこたちはその周りをくんくん嗅ぎまわり、猫たちは竹の葉にじゃれて遊んでいる。メェ子は……竹の皮を食べようとして先生に止められた。
「こらこら、それは食べる前にちゃんとゆでないとダメだぞ」
「メェ〜」
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先生が鍬で土を掘り起こし、女の子は小さなスコップで手伝う。
「よいしょ、よいしょ!」
少しずつ土を取り除いていくと、ずんぐりとしたたけのこの全貌が現れてきた。
「とれたー!」
抜き上げたたけのこを両手で抱きしめると、意外とずっしりと重たい。
わんこが飛び跳ねて「ぼくも!ぼくも!」と言わんばかりに前足をかけ、猫はその皮をちょんと叩いて確認していた。
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しばらく掘り進めると、かごいっぱいのたけのこが集まった。
「すごーい!こんなにいっぱい!」
「掘ったばかりのたけのこは、煮物にしても炊き込みご飯にしてもおいしいんだ」
先生の言葉に、女の子の目がさらに輝いた。
帰り道、たけのこを入れたかごをメェ子が背中に乗せて運んでくれた。ちょっと誇らしげな顔で歩く姿に、女の子は笑って「ありがとう!」と声をかけた。
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病院に戻ると、さっそく料理が始まった。先生が大鍋でたけのこをゆで、女の子は人参やしいたけを切って準備を手伝う。台所には春の香りがいっぱいに広がった。
炊きあがったたけのこご飯はふっくらとして、ほんのり甘い香り。ひと口食べた女の子は思わず声をあげた。
「おいしい〜!」
もちろん動物たちには塩分なしのたけのこを少しだけ味見。わんこはぱくりと食べてしっぽを振り、猫はちょっと首をかしげてから小さくかじった。メェ子は、ゆでた柔らかい部分を幸せそうにむしゃむしゃ。
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夕方、裏山からの風に竹の葉がさやさやと揺れた。
女の子は縁側に座り、たけのこご飯のおにぎりをほおばりながら空を見上げる。
「またらいねんも、ほりにいこうね」
先生はうなずいて、温かいお茶を差し出した。
春の恵みを分かち合う、その静かな時間がとても贅沢に感じられた。




