第138話「落ち葉ひろい」
秋の風が強く吹いた翌朝、病院の庭は色とりどりの落ち葉でいっぱいになっていた。赤や黄色、茶色の葉っぱが重なり合い、足を踏み入れると「かさっ、かさっ」と心地よい音を立てる。
「わぁ〜!おちばのじゅうたんだ!」
女の子は長靴を履いて庭へ駆け出した。わんこたちはその後を追いかけ、落ち葉を蹴散らしながら走り回る。猫たちは落ち葉の山に潜り込み、目だけをきらりと光らせていた。
***
「せんせい!いっぱいあるから、あつめてみよう!」
女の子の提案で、落ち葉拾いが始まった。バケツを持って庭を歩きながら、きれいな色の葉っぱをひとつずつ選んで集めていく。
「これはハートみたいなかたち!」
「こっちはちいさなてのひらだね」
わんこは葉っぱを口にくわえて得意げに持ってくるが、すぐに口の中がぱさぱさして「ぺっ」と吐き出してしまう。猫は落ち葉をひらひらと追いかけ、風に舞うたびに飛びついて遊んでいた。
メェ子はといえば……落ち葉をむしゃむしゃ食べようとして先生に止められている。
「それは食べ物じゃないぞ」
「メェ〜」
***
集めた葉っぱで、女の子は「おちばアート」を始めた。
丸い葉をならべて大きな花のかたちにしたり、赤い葉っぱでハートをつくったり。先生も一緒に協力して、大きな木のかたちを地面に描くように並べていく。
「できたー!」
庭いっぱいに広がる落ち葉の絵に、みんなで拍手。わんこたちはその上を嬉しそうに駆け回り、猫はちょこんと座って記念写真の主役のように振る舞う。
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夕方になると風がまた強まり、庭の落ち葉アートは少しずつ崩れていった。
「ちょっとさみしいね……」
女の子が呟くと、先生は笑って首を振る。
「また明日、新しい葉っぱが落ちてくるよ。そのときは、また新しい絵を描けばいい」
女の子はにっこりして頷いた。
「そうだね!あしたはどんなのつくろうかな」
***
夜、病院の窓から庭を眺めると、月明かりに照らされた落ち葉が静かに揺れていた。
風のいたずらで散らばっても、それはそれで自然の絵のように美しい。
女の子は布団の中で目を閉じながら思った。
「おちばって、ふしぎ。こわれても、またきれいになるんだ」
その夢のようなつぶやきを聞き届けるかのように、外でまた「かさっ」と葉っぱの音が響いた。




